ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヤッシャ・ハイフェッツ(1955)

CD1(RCA BVCC−5057)
CD2(RCA BVCC−37417)

CD1
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
   (カデンツァ:アウアー〜ハイフェッツ)
   20:27/8:43/8:17(計37分27秒)
2.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
   (カデンツァ:アウアー〜ハイフェッツ)
    18:44/8:10/7:17(計34分11秒)
  ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
  シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(1)
  フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団(2)
  録音1955年11月27&28日(1)
     1955年2月21&22日(2)
CD2
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
   (カデンツァ:アウアー〜ハイフェッツ)
   20:30/8:44/8:19(計37分33秒)
2.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                ホ短調Op64
   10:57/7:01/5:52(計23分50秒)

  ヤッシャ・ハイフェッツ(ヴァイオリン)
  シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団
  録音 1955年11月27&28日(1)
      1959年2月23&25日(2)

 巨匠ハイフェッツがステレオ初期に録音したヴァイオリン協奏曲です。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はハイフェッツ円熟期の演奏で研ぎ澄まされたヴァイオリンは緊張感漂い、ミュンシュの引き出す重厚な響きと相まって壮大な音楽を作っています。ハイフェッツのテンポは速くて第1楽章のスピード感とその素晴らしいテクニックには驚きます。展開部の演奏には舌を巻いてしまいます。カデンツァはアウアーのカデンツァをハイフェッツが編曲したもので傑作です。第2楽章のラルゲットは序奏が大変感動的な響きになっています。テンポは程よいテンポで管楽器とヴァイオリンの対話が素晴らしい演奏です。中間部のヴァイオリン・ソロ、そして弦楽のピツィカートに乗ったソロは感動的です。コーダのカデンツァも磨きのかかった響きが素晴らしい演奏です。第3楽章も速いテンポですが管楽器との対話が素晴らしいです。それにしてもハイフェッツのヴァイオリンは聴けば聴くほどその魅力に引き込まれてしまいます。カデンツァはヨアヒムのカデンツァをハイフェッツが編曲したもので短いですが素晴らしい演奏です。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲はライナーが指揮しており、こちらもステレオ初期の名盤です。テンポが速く全曲34分11秒という演奏は驚きます。録音は大変きれいです。ライナー/シカゴの黄金時代の演奏はハイフェッツの気迫に満ちた演奏と相まって最高の演奏を作り出しています。ハイフェッツの透明な響きはビヴラートの少ないものでオーケストラに負けない音量を出しています。男性的なヴァイオリンといえましょう。カデンツァはこちらもアウアーのカデンツァをハイフェッツが編曲したもので大変な無伴奏ヴァイオリン作品です。第2楽章ではホルンのフィリップ・ファーカスとハイフェッツの対話を聞くことが出来ます。第3楽章のスピード感豊かな演奏は他の追随をゆるさないものでしょう。超名盤です。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調はハイフェッツ58歳の時の録音でヴァイオリンの響き、ボウイングの巧みさは素晴らしいものがります。第1楽章のスピード感あふれる演奏はさすがです。カデンツァは絶品。第2楽章のヴァイオリンとオーケストラの調和のとれた響きは最高でハイフェッツのヴァイオリンが大変みずみずしい音に聞こえます。第3楽章は序奏の軽いポルタメントが聴きものです。アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェに入ると管楽器とヴァイオリンが主題を演奏するところが素晴らしいです。速めのテンポですが速さを感じさせないです。24分を切る演奏には脱帽です。胸のすくような名演です。なお録音は1959年になって音質は抜群です。


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