ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

アルテュール・グリュミオー(1957)
CD(PHILIPS PHCP−9655)

1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
       (カデンツァ:クライスラー)
2.J・S・バッハ/ヴァイオリン協奏曲第1番
  イ短調BWV1041
3.  〃   /ヴァイオリン協奏曲第2番
                 ホ長調BWV1042

  アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
  エドゥアルト・ファン・ベイヌム指揮
   ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1)
  レオン・グラー指揮グラー室内管弦楽団(2&3)
   録音 1957年6月4日(1)
       1955年6月(2&3)
        以上(モノラル録音)

 グリュミオーはベートーヴェンとバッハの協奏曲をどちらも3度録音しており、これが最初でした。ベイヌムはコンセルトヘボウの常任として1945年から1959年までつとめブラームスの交響曲第1番のリハーサル中に倒れたそうです。この晩年の録音はグリュミオーとの共演としてベイヌムの録音としても貴重なものでした。なおグリュミオーはベイヌムとブラームスのヴァイオリン協奏曲も録音していました。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はグリュミオーが36歳の時の録音でコンセルトヘボウの豊かな響きをバックに美しい限りのヴァイオリンを奏でており、録音の古さは全く感じられません。むしろ瑞々しい音が生き生きとして伝わってきます。グリュミオーの最もグリュミオーらしいヴァイオリンはこの演奏が原点といっても良いかもしれません。録音に奥行きが感じられ好印象を受けました。2つのカデンツァでは第3楽章のカデンツァにカットとアレンジがみられますのでここが聞き所です。
 バッハの2つのヴァイオリン協奏曲はオーケストラもホールも違いますが、グリュミオーのヴァイオリンは変わらず美しい音が響き渡ります。モノラルとはいえ録音状態が大変良く名演奏のひとつです。


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