ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

イダ・ヘンデル(1957)
CD(SUPRAPHON SU4024−2)

イダヘンデル/ヴァイオリン協奏曲集
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
     (カデンツァ:ヨアヒム)
   23:38/10:28/9:07(43分13秒)
2.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

  イダ・ヘンデル(ヴァイオリン)
  カレル・アンチェル指揮
   チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
  録音1957年10月18日
     プラハ・ライヴ

 イダ・ヘンデルがプラハで演奏したベートーヴェンとシベリウスのヴァイオリン協奏曲で2000年に発掘されたライヴ録音です。アンチェルとの共演でした。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はアンチェル/チェコ・フィルの重厚な響きと力強いヘンデルのヴァイオリンが作り出す厚い響きの演奏です。時折ポルタメントをきかせる演奏はこの時代の特徴でもありました。ヘンデルのヴァイオリンは大変な熱演で緊張感が伝わってきます。カデンツァはヨアヒムのもので緊張感そのままに力強く演奏しています。これは大変素晴らしいもので熱気が伝わってくるようです。第2楽章のラルゲットは遅めのテンポで始まります。ホルンの明るい響きもきれいです。ヴァイオリンの響きはポルタメントも使いながら素晴らしいものです。コーダのカデンツァは見事なものです。第3楽章の演奏はやや遅めのテンポで始まります。それだけにヴァイオリンがよく響きます。ファゴットとの二重奏は素晴らしいものです。ヴァイオリンの響きは艶が出てきて素晴らしい響きになっています。カデンツァはここでも豊かな響きを聴かせてくれます。まさに重厚なベートーヴェンの演奏です。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は録音のせいか冒頭から厚い響きの演奏です。ヴァイオリンは気迫に満ちて熱く響きます。アンチェルの指揮はシベリウスの良い響きを出しています。ヘンデルのヴァイオリンは重音の響きも素晴らしく、ヴィオラとの掛け合いも聴きどころです。重音のソロがまた凄いです。ハイトーンで始まるカデンツァは緊張感があり凄い演奏です。これは聴く方も息がつまりそうです。驚きの演奏です。後半も厚みのある見事な響きです。オーケストラの響きも素晴らしい。コーダの迫力には驚きます。第2楽章:アダージョ・ディ・モルトではオーケストラと共にヴァイオリンが美しい主題を奏でます。中間部のオーケストラの盛り上がりは素晴らしい響きです。その後にヴァイオリンが緊張感のある演奏をみせます。第3楽章は冒頭からヴァイオリン・ソロが力強く演奏されます。オーケストラは勢いの良い演奏でその響きも厚いです。ヴァイオリンとオーケストラの掛け合いは聴きものです。イダ・ヘンデルの勢いは止まりません。実に素晴らしいヴァイオリンです。チェコ放送の録音が秀悦です。


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