ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ダヴィッド・オイストラフ(1958)
CD(EMI TOCE-8178/79)

オイストラフ/二大ヴァイオリン協奏曲
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
         (カデンツァ:クライスラー)
   25:25/9:45/10:23(計45分33秒)
2.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
         (カデンツァ:ヨアヒム)
   22:27/9:45/8:23(計40分35秒)

  ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
  アンドレ・クリュイタンス指揮(1)
  オットー・クレンペラー指揮(2)
    フランス国立放送管弦楽団
  録音 1958年11月8&10日(1)
      1960年6月17〜19日(2)

 オイストラフの二大ヴァイオリン協奏曲です。ステレオのスタジオ録音でした。オイストラフはブラームスを得意としてベートーヴェンの演奏はその半分ほどだったようです。 このクリュイタンス指揮の演奏はまずオーケストラがフランスのオケであり明るい管楽器に特徴があって響きがきれいです。そしてクリュイタンスの作り出すベートーヴェンの音は交響曲と同じで、とにかくきれいです。ベルリン・フィルのようでした。その中で弾かれるオイストラフのヴァイオリンは美の極致でしょう。カデンツァはクライスラーのものでぴったりです。演奏時間45分を超える壮大な演奏。
 ブラームスの演奏はクレンペラーとの共演でした。クレンペラーの作り出すブラームスとオイストラフの繊細かつダイナミックなヴァイオリンが融合した大変感動的な演奏になりました。響きが深遠であり壮大な音楽になっています。EMIがどうしてこの組み合わせにしたのかわかりませんが、できた演奏が極めて優れたものであり、最近には聞かれないものです。 第1楽章の遅めのテンポから生まれる奥深い響きはこの曲の本来の美しさを余すところなく出しています。数あるオイストラフの録音の中でも1、2をあらそうものでしょう。残響が消えてから聞こえるカデンツァも最高。
 第2楽章のブラームスの響きはクレンペラーならではの歌わせ方でしょう。ホルンのヴィブラートをおさえてフランス風になっていないのが特徴でしょう。第3楽章の演奏が驚きです。これほどオーケストラが深遠に響いた演奏もないかもしれません。ヴァイオリンと弦楽がじつによくなっています。
 惚れ惚れする演奏です。これぞ名演奏、名録音といってよいでしょう。


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