ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ウォルフガング・シュナイダーハン(1962-2)
CD(DGG 447403-2)

1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
      (カデンツァ:シュナイダーハン)  
2.モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第5番
  イ長調K219

  ウォルフガング・シュナイダーハン(ヴァイオリン)
  オイゲン・ヨッフム指揮(1)
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1&2)
   録音 1962年5月(1)
       1967年2月(2)

 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でシュナイダーハンはフルトヴェングラーやケンペンとの録音ではヨアヒムのカデンツァ、チェリビダッケとの共演ではアウアーのカデンツァを弾いていましたが、この録音ではベートーヴェンがこの曲のピアノ版のために書いたカデンツァをヴァイオリン用に編曲して演奏しています。
 第1楽章は序奏の後に、シュナイダーハンの美しいヴァイオリンが始まります。展開部から再現部へとメリハリをつけた素晴らしい響きの演奏です。管楽器の響きもきれいです。カデンツァはベートーヴェンがこの曲のピアノ版のために書いたカデンツァをヴァイオリン用に編曲して演奏しています。途中からティンパニのオブリガートが入る長大なカデンツァです。シュナイダーハンの演奏は美しく流麗です。ヨッフムのサポートもあってシュナイダーハンの最高傑作になっているのではないでしょうか。第2楽章では序奏のあとにホルンと共にヴァイオリンが始まります。ベルリン・フィルのホルンの美しい響きが聞かれます。シュナイダーハンのヴァイオリンは大変繊細な響きの演奏です。ファゴットの響きもきれいです。終結のカデンツァは長いもので、これも見事な演奏です。第3楽章は美しいヴァイオリンで始まります。オーケストラの間奏の迫力ある響きのあと、管楽器と対話するようにヴァイオリンが歌います。提示部最後にカデンツァがはいります。展開部ではファゴットとの対話も良い響きです。後半のカデンツァも見事な演奏です。シュナイダーハンの演奏には気迫も感じられます。素晴らしい演奏です。
 モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番はシュナイダーハンの指揮で弾き振りになっています。ウィーン・フィルのコンサートマスターだった彼のモーツァルトはオイストラフ同様極上のモーツァルトです。第1楽章ではウィーン風のモーツァルトがきれいです。レガートのきれいな演奏が素晴らしいものです。カデンツァも素晴らしい響きです。第2楽章のアダージョはオーケストラにもヴァイオリンにもモーツァルトの美しさがあります。カデンツァも美しい演奏です。第3楽章はロンドでモーツァルトの楽しい響きがあります。後半のトルコ風のリズムでの演奏はこの作品の特徴的なものですが大変素晴らしい演奏です。そして感動的な響きにもなっています。カデンツァは見事な演奏です。


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