ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

エディト・パイネマン(1964)
CD(WEITBLICK SSS0204/0205-2)

CD1
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
   (カデンツァ:クライスラー)
2.プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
                   ニ長調Op19
CD2
3.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                    ホ短調Op64
4.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

 エディト・パイネマン(ヴァイオリン)
 ジョージ・セル指揮(1)
 ギュンター・ヴァント指揮(2)
 ヨーゼフ・カイルベルト指揮(3&4)
  ケルン放送交響楽団(1〜4)

 録音 1964年6月11日(1)(モノラル)
     1975年10月10日(2)(ステレオ)
     1960年5月6日(3)(モノラル)
     1967年10月27(4)(ステレオ)
     ビスマルクザール、ライヴ

 エディト・パイネマンがケルン放送で演奏した貴重なライヴ録音です。セルやヴァント、そしてカイルベルトとの共演です。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はジョージ・セルとの共演です。第1楽章は序奏から重厚な響きをケルン放送が出しています。セルの統率力は素晴らしいものです。パイネマンのヴァイオリンは艶のある響きで見事な演奏です。展開部から再現部の透明感のある響きも素晴らしいです。カデンツァはクライスラーのものを弾いています。これも見事な演奏です。第2楽章はラルゲット、ホルンに続いてヴァイオリンのソロが入ります。クラリネットとの対話もきれいな響きです。中間部の重厚な響きも良い演奏です。コーダのカデンツァも素晴らしい響きです。第3楽章の軽快なヴァイオリンと重厚なオーケストラの響きが素晴らしい。提示部ではホルンの明るい響きもきれいです。展開部もきれいな演奏でファゴットの響きも美しいものです。カデンツァはこちらも力強い響きで素晴らしいものです。この演奏はセルと共に名演です。
  プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番はヴァントとの共演です。第1楽章はアンダンティーノに始まり、アンダンテ・アッサイになる穏やかなテンポの楽章です。ヴァイオリンは力強く、そして美しい響きで主題を歌います。後半になると細かいフレーズが演奏されてきます。パイネマンのヴァイオリンは感動的です。第2楽章のスケルツォは後年のハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲に影響を与えたかと思えるほどよく似たリズムが出てきます。しかしながらこのヴァイオリンは斬新な歌い方が実に素晴らしいものです。第3楽章はモデラート、穏やかに始まります。ヴァイオリンの美しい主題と、オーケストラの特徴的なフレーズが印象的です。これは見事な演奏です。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はカイルベルトとの共演です。第1楽章のさわやかなヴァイオリンに始まるこの協奏曲はきれいな作品です。パイネマンの演奏には感動です。展開部の厚い響き、そしてカデンツァは絶品の演奏です。第2楽章のヴァイオリンとオーケストラの調和のとれた響きは中間部も見事なものです。第3楽章の冒頭では管楽器とヴァイオリンが主題を演奏するところはきれいです。パイネマンのヴァイオリンも生々しい音が聞こえます。この楽章もオーケストラの響きが美しいです。素晴らしい演奏です。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲もカイルベルトとの共演。パイネマンの個性が十分に発揮された演奏になりました。この曲は重音が多くパワーが必要なだけにピッタリと思います。ホールの響きが良く、ヴァイオリンがきれいに響きます。カデンツァも素晴らしい演奏です。オーケストラは重厚な響きになっています。第2楽章のアダージョ・ディ・モルトは抒情的な主題がオーケストラで歌われ、やがてヴァイオリンの主題が奏でられます。そして劇的な響きの中間部があります。ヴァイオリンとオーケストラが力強く響きます。第3楽章は勢いのあるテンポで音とリズムを大切に弾いています。大変きれいな演奏で表現力も豊かです。大変感動的な演奏です。名演です。


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