「春の祭典」の演奏

エサ・ペッカ・サロネン/フィルハーモニア管弦楽団(1989)

CD1(SONY CSCR8239)
CD2(SONY CLASSICAL SICC1761〜2)
CD1
1.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
2.    〃    /3楽章の交響曲
  エサ・ペッカ・サロネン指揮
   フィルハーモニア管弦楽団
  録音 1989年10月18〜21日
CD2/ストラヴィンスキー/バレエ音楽集
1.バレエ音楽「春の祭典」
2.バレエ音楽「火の鳥」(1910年版)全曲
3.バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
4.バレエ音楽「プルチネルラ」(1965年改訂版)
  エサ・ペッカ・サロネン指揮
   フィルハーモニア管弦楽団(1〜3)
   ロンドン・シンフォニエッタ(4)
   イヴォンヌ・ケニ−(ソプラノ)(4)
   ジョン・エイラー(テノール)(4)
   ジョン・トムリンソン(バス)(4)
  録音 1989年10月18〜21日(1)
      1988年6月9〜23日(2)
      1991年10月16日(3)
      1990年4月27〜29日(4)

  サロネンの「春の祭典」は「火の鳥」に続く録音でした。
 前衛作曲家サロネンの「春の祭典」は序奏のファゴットからの絶妙な木管のバランスが素晴しい。また普段は聞こえてこないような音が聞こえます。「春のきざし」のテンポの速さは尋常ではありません。驚きの速さです。ホルンのソロが速いので驚きました。「誘拐」も同様で面白いのはヴァイオリンのピチカートがはっきり聞こえることでしょう。ホルンの強奏、パーカッションの大音量は凄いです。「春のロンド」は弦の厚い響き、木管とホルンの響きそしてタムタムの大音響は聞きものです。「敵対する町の遊び」は勢いがあり、迫力があります。金管とティンパニがよい響きです。「賢者の行進」では大迫力の演奏が聴かれます。「大地の踊り」は凄まじいまでの迫力と緊張感があります。パーカッションの活躍は素晴らしいです。第2部は序奏から厚い響きが素晴らしい。「乙女の神秘的な踊り」は緊張感が漂い、アルトフルートとホルンはよい響きです。「いけにえの賛美」は直前の和音から速いテンポで凄い演奏です。タムタムをこする音が鮮やかに響きます。テンポの速さと迫力は絶品。パーカッションとピッコロがよく響きます。「祖先の呼び出し」のティンパニは恐ろしいほどの大音響です。大太鼓のクレッシェンドも大迫力です。「祖先の儀式」での弦の異様な響き、ホルンの強奏はパーカッション共々迫力満点です。バストランペットもよく響きます。「いけにえの踊り」ではここでもタムタムをこする音が鮮やかです。またリズムの交錯の素晴らしいこと、勢いのある演奏、大太鼓の生々しい響きが凄い。最後は1音で終わります。超名演です。
 3楽章の交響曲はピアノが加わる3管編成の作品です。サロネンにかかると複雑な曲が明快に聞こえてきます。まるでバレエ音楽を聴いているかのようです。
 CD2は三大バレエ音楽と「プルチネルラ」全曲です。
 バレエ音楽「火の鳥」は1910年版による全曲演奏です。導入部の整然とした演奏、第1部では「イワン王子の突然の登場」から「王女たちのロンド」の美しい響きはこの作品の聴きどころでもあります。「カスチェイ王の凶暴な踊り」から「子守歌」も組曲でおなじみのところです。「子守歌」のファゴット・ソロが印象的です。第2場はホルンのソロに始まって迫力のフィナーレになります。素晴らしい演奏です。
 バレエ音楽「ペトルーシュカ」は「謝肉祭の日」冒頭からフルートの鮮やかな演奏が素晴らしい。弦楽の厚みのある演奏と金管の響き、これも素晴らしい。演奏に勢いがあり、緊張感もまた凄いです。最後のフルート・ソロが素晴らしい。「ロシアの踊り」ではピアノが聞こえてきます。ここでもフルート、ピッコロは強烈です。「ペトルーシュカの部屋」のピアノが大変きれいです。ピアノに乗ったフルートもきれいです。「ムーア人の部屋」のトランペット・ソロは滑らかで完璧です。続く「ワルツ」のファゴット、フルート、トランペットの掛け合いは素晴らしい演奏です。「謝肉祭の市」は勢いのある演奏で良い響きです。「乳母の踊り」ではホルンが良い響きです。「熊を連れた農夫の踊り」はテューバとクラリネットの対話がよい響きです。この「ペトルーシュカ」も素晴らしい演奏です。絶賛したいと思います。
 バレエ音楽「プルチネルラ」は1965年の改訂版を使用しています。ペルゴレージの作品を編曲したこのバレエはディアギレフがストラヴィンスキーに依頼して書いてもらったものです。「プルチネルラ」は組曲でも有名ですが、ここでは声楽が入る全曲版の演奏が聴かれます。序曲と15曲のバレエはストラヴィンスキーの作品の中でもロマン的な作品で聴いていて楽しいです。「アンダンテ」ではオペラのように三重唱が歌われています。バレエ音楽としてはユニークな作品です。良い演奏です。


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