チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヴァディム・ブロドスキー(1986)
CD(ASV CD QS6016)

1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                  ニ長調Op35

  ヴァディム・ブロドスキー(ヴァイオリン)
  イェジ・サルヴァロフスキ指揮(1)
  アントニー・ヴィット指揮(2)   
   ポーランド国立放送交響楽団
    録音 1986年

 ヴァディム・ブロドスキーは1974年のチャイコフスキー・コンクールで5位に入賞しているロシア出身のヴァイオリニストです。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は丁寧に力強い演奏をしています。ヴァイオリンがよく響きます。重音の演奏も素晴らしいものです。カデンツァは冒頭から素晴らしい音色でハイトーンもよく響いています。後半も研ぎ澄まされたような緊張感のある見事な演奏です。第2楽章は穏やかなヴァイオリンとオーケストラのあとにオーケストラの間奏があってヴァイオリンの力強い演奏がきます。これもまた良い響きを出しています。第3楽章は冒頭から気迫に満ちた力強い演奏が続きます。後半の重音の厚い響きは素晴らしいものです。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は力強い響きで見事な演奏です。展開部では表現力豊かにたっぷりと歌っています。カデンツァは力の入った素晴らしい演奏です。再現部の繊細な演奏は素晴らしい。第2楽章のカンツォネッタは弱音器を使います。弦楽セクションも弱音器を使いますので穏やかな音色になります。このヴァイオリンの響きはこの作品の聴きどころでもあります。第3楽章の冒頭は表現力豊かにテンポを変えながらソロを弾いています。主部の速いテンポの演奏はさすがに素晴らしい演奏です。この楽章ではヴィットがテンポを落としてオーケストラとの対話を強調していますので面白いです。


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