「海」の演奏(1)

シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団(1956)
CD(RCA BVCC-7925) 

1.ドビュッシー/交響詩「海」
2.   〃  /牧神の午後への前奏曲
3.   〃  /管弦楽のための映像
       ジーグ/イベリア/春のロンド
 
  シャルル・ミュンシュ指揮
    ボストン交響楽団
  録音 1956年12月9日(1)
      1956年1月23日(2)
      1957年12月16日(3)
      (ステレオ録音)       

 ミュンシュのドビュッシー/スタジオ録音です。「海」はボストン交響楽団とは唯一の録音で、しかも後半の合いの手パッセージが挿入されるミュンシュ唯一の録音です。
 「海」はミュンシュの「海」の中ではテンポの変化が少ない演奏です。冒頭のハープがLPでは印象に残った記憶があります。第1曲「海の夜明けから真昼まで」は弦楽の波の表現、管楽器の美しい響き、はじけるハープがきれいです。コーダの押し寄せる波はタムタムとシンバル、ティンパニの音がライヴほど大きくありませんん。管楽器の響きが大きいです。第2曲「波の戯れ」ではハープとグロッケンの鮮やかな響きがあります。弦楽による波の戯れの表現がきれいです。中間部のさざなみ、押し寄せる波は素晴らしい。そして徐々に盛り上がるところはやはりミュンシュらしいです。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力とパーカッションの響きが素晴らしく、徐々に盛り上げていきます。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話が見事です。後半に挿入されるパッセージはホルンとトランペットで高らかに吹かれます。怒濤のコーダは最後にコルネットの三連符が高らかに演奏される版を使っています。
 「牧神の午後への前奏曲」はボストンとの1回目の録音です。1962年に再録音していました。この演奏はフルート・ソロのあとにやわらかなホルンがエコーのように響くところが大変きれいです。
 「映像」は第1曲「ジーグ」が大変幻想的なフルートの主題ではじまりハープ、オーボエ、コールアングレと続くドビュッシーらしい曲です。テンポが変わるとにぎやかです。「イベリア」の演奏はフランスのオーケストラ同様に鮮やかな演奏を聞かせます。緊張感があります。第3曲「春のロンド」は管楽器の楽しそうな響き、そして弦楽のざわめきのよな表現など素晴らしい演奏が聞かれます。


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