「海」の演奏(1)

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団(1957)
CD(LONDON KICC-9218)

ドビュッシー/管弦楽作品集
1.交響詩「海」
2.夜想曲
3.牧神の午後への前奏曲
  エルネスト・アンセルメ指揮
   スイス・ロマンド管弦楽団
   アンドレ・ペパン(フルート)(3)
  録音 1957年11月 

 アンセルメのドビュッシーです。ドビュッシーはSP録音、モノラル録音もありますがこの1957年の3曲はアンセルメの代表的な演奏です。「海」は3度目の録音でした。
 「海」は第1曲「海の夜明けから真昼まで」は幻想的な響きの冒頭が見事です。日の出の情景も素晴らしい。弦楽の波の表現が大変きれいです。コーダの押し寄せる波はタムタムとシンバル、ティンパニの強打が抜群でさすがにアンセルメは素晴らしいです。フェルマータも長いです。第2曲「波の戯れ」ではコールアングレに続くオーボエの演奏がきれいです。ハープによる波のきらめき、ホルンの響き、弦楽による波の戯れの表現は絶品でしょう。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力とパーカッションの響きが素晴らしく、ミュートをつけたトランペットがよく響いています。弦楽のきざみがまた凄いです。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話がまた素晴らしいです。パーカッションの迫力もあります。後半に挿入されるパッセージはホルンとトランペットによって高らかに演奏されます。怒濤のコーダには圧倒されます。
 「夜想曲」は2度目の録音でした。夜想曲は第1曲「雲」が雰囲気豊かな演奏です。コールアングレが良い響きです。弦楽の表現も素晴らしい。第2曲「祭り」の勢いのある演奏も素晴らしい。管楽器の活躍は聞きものです。第3曲「シレーヌ」は「海の精」をテーマにした曲ですが、女声ヴォーカルとホルンの対話が素晴らしい。
 「牧神の午後への前奏曲」は冒頭のフルートが聴きどころですが、続くホルンのこだまともいえるフレーズは大変重要で、この冒頭だけで全曲の出来栄えが想像できるほどです。フルートのアンドレ・ペパンとホルンのルロワールが満を持して演奏した絶品ともいえる録音です。


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