「海」の演奏(2)

ジョージ・セル/ケルン放送交響楽団(1962)
CD(IMG 7243 5759622)

CD1
1.オーベール/歌劇「フラ・ディアヴォロ」序曲
2.ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調Op88
3.ドビュッシー/交響詩「海」
4.ディーリアス/歌劇「イルメリン」前奏曲
CD2
5.ロッシーニ/歌劇「アルジェのイタリア女」序曲
6.チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調Op64
7.ワーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
8.ヨゼフ・シュトラウス/ワルツ「うわ言」Op212

  ジョージ・セル指揮
   クリーヴランド管弦楽団(1、2、4、5&8)
 ケルン放送交響楽団(3&6)
   ニューヨーク・フィルハーモニック(7)
   録音 1957年11月2日(1)
       1970年4月27&28日(2)
       1962年11月26日ライヴ(3)
       1956年10月28日(4)
       1967年5月5日(5)
       1966年6月24日ライヴ(6)
       1954年1月4日(7)
       1962年1月5日(8)
       (3、4&7:モノラル録音)

 セルの名演集です。オーベールの序曲はセルとしては珍しいレパートリーでしょう。
 ドヴォルザークの8番は最晩年のEMIへの録音です。この曲の代表的な演奏のひとつです。冒頭からボヘミア色豊かでロマンティックな演奏です。なんといっても第3楽章のスラヴ舞曲風の演奏が素晴らしい。フィナーレの演奏もまたこの曲を聞く楽しみで美しい響きです。
 「海」はケルン放送のライヴでモノラル録音です。セルの「海」は4種類残っていますが、スタジオ録音のみがステレオ録音です。いずれも素晴らしい演奏です。このケルン放送の演奏はオーケストラがどこかは関係なくセルの「海」そのものです。弦楽の波の表現の鮮やかさ、コーダの大波の表現も素晴らしい。第2曲「波の戯れ」は管楽器の響きのよさ、ソロヴァイオリンの強調、波の表現が素晴らしい。第3曲「風と海との対話」は冒頭の弦楽とパーカッションの響きが凄いです。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話、パーカッションの迫力が素晴らしい。後半の合いの手パッセージは挿入されませんが終結の圧倒的な演奏は凄いです。最後にコルネットの三連符が高らかに演奏される版を使っています。
 「イルメリン」前奏曲はディーリアスの傑作ですが、セルの録音があったとは驚きです。さわやかな印象を受けます。
 チャイコフスキーの5番はクリーヴランドとの録音がありますが、ケルン放送のライヴ録音は大変よい響きの序奏、ゆったりとした提示部の演奏が素晴らしく、この曲の魅力を引き出した名演です。第2楽章のホルン・ソロが哀愁的な響きで、この曲のホルン・ソロの中でも特筆すべき演奏です。うまさとか美しさとかではなくチャイコフスキーの音楽としての表現が優れています。滅多に聞けないホルンで、完璧な演奏です。
 「マイスタージンガー」前奏曲はニューヨーク・フィルの演奏で、この他にも「オランダ人」と「タンホイザー」の序曲を録音していました。ヨゼフ・シュトラウスの「うわ言」はセルのウィンナワルツ集の中の1曲でした。


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