ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ローラ・ボベスコ(1988)
CD(talent SRM035CD)

ローラ・ボベスコ/ヴァイオリン協奏曲集
1.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
     (カデンツァ:ヨアヒム)
2.ブラームス/F・A・Eソナタよりスケルツォ
3.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                ホ短調Op64

  ローラ・ボベスコ(ヴァイオリン)
  ホセ・セレブリエール指揮(1)
  エドガール・ドヌー指揮(3)
  ベルギー国立放送新交響楽団
  ジャック・ジャンティ(ピアノ)(2)
  録音1988年3月4日ライヴ(1)
     1980年12月(2)
     1984年(3)

 ローラ・ボベスコはルーマニア出身のヴァイオリニストです。パリ音楽院で学びベルギーのブリュッセル音楽院とリエージュ音楽院で後進の指導にあたりました。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲は重厚なオーケストラと対等に響くボベスコのヴァイオリンが美しい。66歳のボベスコが渾身の力でブラームスを弾いています。ヨアヒムのカデンツァは厚い響きでホール一杯に響きます。実に良い響きです。第2楽章はオーボエのソロのあとにヴァイオリンがすすり泣くように美しい主題を歌います。ホルンとの対話もきれいです。このアダージョはボベスコのヴァイオリンの美しさを堪能できます。第3楽章はヴァイオリンの力強い演奏、オーケストラの厚い響きが流れます。ボベスコのヴァイオリンがよく響きます。これは感動的な演奏です。後半も圧倒的で実に素晴らしい名演です。
 「F・A・Eソナタ」はシューマン、ブラームスとディートリヒの合作です。ブラームスは第3楽章の「スケルツォ」を作曲しました。ボベスコの演奏は夫君のジャック・ジャンティのピアノの伴奏で実に良い響きのヴァイオリンを聴かせてくれます。勢いのあるスケルツォです。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は透明感のあるヴァイオリンが歌う実に美しいメンデルスゾーンです。カデンツァも厚い響きで見事な演奏です。ボベスコのヴァイオリンはビヴラートがきれいです。第2楽章は重音がきれいな演奏でゆったりと歩くようなアンダンテです。切れ目なく続く第3楽章は序奏の部分が抒情的です。アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェに入ると鮮やかなボウイングで艶のある響き、ハイトーンの美しいことは特筆ものです。なんという美しいメンデルスゾーンでしょうか。絶賛したいと思います。


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