ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

エリカ・モリーニ(1967)
CD(MEMORIES MR2597)

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
      (カデンツァ:ヨアヒム&モリーニ)

  エリカ・モリーニ(ヴァイオリン)
  ジョージ・セル指揮
   クリーヴランド管弦楽団
  録音 1967年5月11日
   セヴェランス・ホール・ライヴ

 エリカ・モリーニはオーストリア出身でアメリカのヴァイオリニストです。セルとの共演もありました。この録音は貴重なベートーヴェンの協奏曲です。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はセル/クリーヴランドのベートーヴェンの響きを大切にしたもので、序奏から壮大な演奏です。モリーニのヴァイオリンは緊張感のある美しいヴァイオリンです。展開部のうまさ、再現部の表現力の豊かなこと、セルの引き出すベートーヴェンの響き、さすがに素晴らしい演奏です。カデンツァはヨアヒムのものを弾いています。実に巧みで力強く、そして繊細に演奏する素晴らしいカデンツァです。第1楽章が終わると拍手が入ります。
 第2楽章のはラルゲット、ホルンとクラリネットと対話するようにヴァイオリンが歌います。ホルンが大変きれいです。モリーニの繊細なヴァイオリンも素晴らしい、やがてファゴットとの対話になります。ここも聴きどころです。オーケストラの間奏があってヴァイオリンの美しいソロになります。弦楽のピツィカートが良い響きです。第3楽章の前にカデンツァが入ります。モリーニのオリジナルのようです。そして切れ目なく第3楽章に入ります。
 第3楽章はロンド、勢いのあるオーケストラ、美しい響きのヴァイオリン、まさにベートーヴェンの響きです。ヴァイオリンの主題はさわやかで、オーケストラは力強く響きます。ファゴットの対旋律がきれいに響きます。カデンツァはモリーニのオリジナルです。素晴らしい演奏です。コーダの演奏はセルのベートーヴェンの響きで圧倒されます。聴衆は大喝采でした。絶賛したいと思います。


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