ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ローラ・ボベスコ(1982)

CD1(PHILIPS 30CD−3037)
CD2(talent DOM2910 501X)
CD1
ローラ・ボベスコ/ベートーヴェン協奏曲集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
     (カデンツァ:クライスラー)
2.ロマンス第1番ト長調Op40
3.ロマンス第2番ヘ長調Op50

  ローラ・ボベスコ(ヴァイオリン)
  エドガール・ドヌー指揮
 ベルギー国立放送新交響楽団
 1982年7月26日〜8月2日録音
CD2
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
     (カデンツァ:クライスラー)
2.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                 ホ短調Op64

  ローラ・ボベスコ(ヴァイオリン)
  エドガール・ドヌー指揮
  ベルギー国立放送新交響楽団
  録音1982年7月26日〜8月2日(1)
     1984年(2)

 ローラ・ボベスコはルーマニア出身のヴァイオリニストです。パリ音楽院で学びベルギーのブリュッセル音楽院とリエージュ音楽院で後進の指導にあたりました。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は遅めのテンポで歌う演奏でヴァイオリンの美音をたっぷり楽しませてくれます。そしてボウイングも独特で透明感があってホールに響き渡るヴァイオリンが素晴らしいものです。クライスラーのカデンツァは豊かな音量でホール一杯に響きます。実に素晴らしい演奏です。第2楽章のラルゲットは優雅な響きでファゴットとの絡みも聴きどころです。穏やかな美しさあふれる演奏です。第3楽章の演奏もやや遅めのテンポです。それだけにヴァイオリンがよく響きます。ここでもファゴットとの二重奏が素晴らしいものです。カデンツァはここでも豊かな響きを聴かせてくれます。47分近い長い演奏時間ですがその美しさは比類なきものです。
 ロマンス第1番ト長調は透明感のあるヴァイオリンが歌うロマンスの美しさがあります。オーケストラの響きもまた素晴らしい。
 ロマンス第2番は「ヘ調のロマンス」として知られた名曲です。この美しいロマンスをボベスコが演奏すると大変美しいヴァイオリンが歌うロマンティックな歌になります。この作品には多くの録音がありますが、ボベスコのロマンスはまさに特筆ものです。
 CD2に収録されたメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は透明感のあるヴァイオリンが歌う実に美しいメンデルスゾーンです。カデンツァも厚い響きで見事な演奏です。ボベスコのヴァイオリンはビヴラートがきれいです。第2楽章は重音がきれいな演奏でゆったりと歩くようなアンダンテです。切れ目なく続く第3楽章は序奏の部分が抒情的です。アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェに入ると鮮やかなボウイングで艶のある響き、ハイトーンの美しいことは特筆ものです。なんという美しいメンデルスゾーンでしょうか。ベートーヴェンとメンデルスゾーンの2曲は何度聞いても新しい発見があります。絶賛したいと思います。


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