「海」の演奏(2)

サー・ジョン・バルビローリ/パリ管弦楽団(1968)
CD(SERAPHIM TOCE−7156)

1.ドビュッシー/交響詩「海」
2.  〃   /3つの夜想曲

  サー・ジョン・バルビローリ指揮
     パリ管弦楽団
  1968年12月12、13、18&20日録音

 バルビローリがパリ管弦楽団を指揮した唯一のアルバムでした。創設2年目のパリ管弦楽団は初代の首席指揮者シュルル・ミュンシュが1968年11月に急死したため翌1969年から71年までカラヤンが音楽顧問をつとめます。
 この2曲は本来はミュンシュが録音するはずだったと思われますがミュンシュが亡くなってバルビローリが代役をつとめたのかもしれません。バルビローリはハルレ管弦楽団とドビュッシーの「海」を録音しており。これが大変な名演でした。
 このパリ管との「海」はフランスのオーケストラ独特の明るい音色の楽器が作り出す絶妙な響きが素晴らしい。波のきらめき、波のうねり、大波の表現など絶品です。第2曲「波の戯れ」ではハープとグロッケンシュピールが作り出す波のきらめきがきれいです。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力に圧倒されます。シンバルで表現の波しぶきも凄いです。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話が見事です。後半に挿入されるパッセージはここでは挿入されていません。コーダの盛り上がりには感動しました。
 「夜想曲」は第1曲「雲」は弦楽器が表現する「雲」が弱音器の効果によりイメージが湧いてきます。漂う雲が管楽器なのか夢がふくらみます。第2曲「祭り」はトランペットやホルンの明るい音色が際だっています。実に楽しい音楽です。第3曲「シレーヌ」は女声合唱とホルンの対話から始まる幻想的な音楽です。最もドビュッシーらしい作品といっても良いかもしれません。バルビローリは良い録音を残してくれました。


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