「海」の演奏(1)

ルイ・ド・フロマン/ルクセンブルク放送管弦楽団(1975)
CD(membran 222125−444)4枚組

ドビュッシー/管弦楽作品全集
CD1
1.牧神の午後への前奏曲
2.交響詩「海」
3.管弦楽のための「映像」
CD2
1.夜想曲
2.バレエ音楽「遊戯」
3.バレエ音楽「カンマ」(ケクラン編)
CD3
1.交響組曲「春」(ビュッセル編)
2.ピアノと管弦楽のための幻想曲
3.管弦楽とサクソフォーンのための狂詩曲
4.クラリネットと管弦楽のための狂詩曲第1番
5.レントより遅く
6.バッカスの勝利
7.劇付随音楽「リア王」〜リア王の眠り
 マリレーヌ・ドッス(ピアノ)(1&2)
 ジャン=マリー・ロンデックス(SAX)(3)
 セルジュ・ダンガン(クラリネット)(4)
 カテリーナ・ツラトニコヴァ(ツィンバロム)(5)
CD4
1.英雄的な子守歌
2.カンタータ「放蕩息子」
3.民謡の主題によるスコットランド風行進曲
4.バレエ音楽「おもちゃ箱」
5.神秘劇「聖セバスチャンの殉教」
 ジャック・ナヴァディク(語り)(5)
 ロレーヌ・ヴォーカル・アンサンブル(5)

 ルイ・ド・フロマン指揮
  ルクセンブルク放送管弦楽団
   女声合唱団(夜想曲)
   録音 1972〜75年

 フランスの指揮者ルイ・ド・フロマンがルクセンブルク放送管弦楽団を指揮したドビュッシーの管弦楽作品です。
CD1
 牧神の午後への前奏曲は、冒頭から美しいフルート、明るい響きのホルンがまるでフランスのオーケストラのような演奏になっています。驚きの名演奏です。中間部のハープや木管が響くところも素晴らしい演奏です。ひと味違う演奏に聞こえます。
 交響詩「海」は第1曲「海の夜明けから真昼まで」は冒頭の夜明けの雰囲気が素晴らしいです。ホルンとハープの響きもきれいです。木管をはじめとしてオーケストラのうまさ、弦は波のきらめきがきれいです。コーダの大波の表現は圧倒的です。第2曲「波の戯れ」は波の表現が大変きれいです。コールアングレとオーボエの対話も素晴らしい響きです。後半の圧倒的な響きは素晴らしいです。第3曲「風と海との対話」では低弦の迫力が大変素晴らしい。風を表現する低弦がまた凄いです。トランペットの響き、ホルンと弦楽の対話もきれいです。後半に挿入される合いの手のパッセージはホルンとトランペットで高らかに演奏されています。またコーダの圧倒的な迫力はさすがに凄いです。
 管弦楽のための「映像」は第1曲「ジーグ」は幻想的なフルートの主題ではじまりハープ、オーボエ、コールアングレと続くドビュッシーらしい曲です。テンポが変わると金管がにぎやかになります。第2曲「イベリア」は中でも有名な曲です。3つの曲があります。演奏は勢いがあり、オーケストラは鮮やかな演奏を聞かせます。緊張感があります。「祭りの朝」は楽しい演奏になっています。第3曲「春のロンド」は管楽器の楽しそうな響き、そして弦楽のざわめきのよな表現など素晴らしい演奏が聞かれます。
CD2
 夜想曲は「雲」「祭り」「海の精」の3曲が演奏されます。「雲」は時折聴かれるコールアングレが印象的です。「祭り」はファンファーレに始まって大きな響き、ホルンの響きも高らかに響いています。楽しい曲です。「海の精(シレーヌ)」は女声合唱が入って表情豊かです。ホルンの序奏があってすぐに合唱が入ります。この夜想曲の美しさを感じられる演奏です。
 バレエ音楽「遊戯」は名曲です。フロマンの演奏は安定したアンサンブルで、木管と金管が融合した素晴らしい響きでこの作品を演奏しています。
 バレエ音楽「カンマ」はピアノ譜からケクランがオーケストレーションしたものです。前奏曲と3つの場になります。ピアノが入る独特の編曲です。きれいな演奏です。
CD3
交響組曲「春」はビュッセルの編曲でピアノとオーケストラで演奏されます。2つの楽章は続けて演奏されます。ボッティチェルリの絵「プリマヴェーラ(春)」にインスピレーションを受けて作曲したと言われます。きれいな作品です。
 「ピアノと管弦楽のための幻想曲」は1890年に完成したピアノ協奏曲です。2つの楽章で書かれていますが、第2楽章は緩急の2つの部分があって、3楽章の協奏曲のようになっています。ドッスのピアノはきれいな演奏で、ドビュッシーのピアノを見事に演奏しています。
 「管弦楽とサクソフォーンのための狂詩曲」は未完の作品をロジェ・デュカスが補筆完成したものです。ロンデックスのサキソフォンによる演奏はフランスの管楽器らしい明るい響きで素晴らしい演奏です。
 「クラリネットと管弦楽のための狂詩曲第1番」はクラリネットとピアノのための作品からの編曲です。セルジュ・ダンガンのクラリネットが大変きれいな演奏です。クラリネットの協奏作品としてもよくできています。
 「レントより遅く」はそれほど遅いテンポとも思えない小品です。ワルツでツィンバロムとオーケストラで演奏されます。大変きれいな音楽です。
 「バッカスの勝利」はトランペットのファンファーレと共に始まります。明るい勝利の音楽です。途中から静かになります。
 劇付随音楽「リア王」から「リア王の眠り」が演奏されます。前半はにぎやかな音楽です。後半は静かになってまたにぎやかに終わります。
CD4
 「英雄的な子守歌」はピアノ曲からドビュッシーがオーケストラ版に編曲したものです。
 カンタータ「放蕩息子」から第4曲の「行列と舞踏曲」が演奏されています。ハープの入るオーケストラでドビュッシーらしい響きの作品です。
 「民謡の主題によるスコットランド風行進曲」はピアノ連弾曲からドビュッシーがオーケストラ用に編曲したものです。楽しい作品です。後半にはホルンが響きます。
 バレエ音楽「おもちゃ箱」は未完のバレエ音楽で、残りの部分をピアノ・スコアからアンドレ・カプレが完成させたものです。ピアノ・オブリガートが入って独特の響きになっています。プロローグと5曲からできていて29分ほどの作品です。ピアノとオーケストラによる楽しい演奏になっています。
 神秘劇「聖セバスチャンの殉教」は4つの場面が演奏されています。第1幕「ユリの庭」、第2幕「魔法の部屋」第3幕「異教の神の宗教会議」と第4幕「傷ついた月桂樹」です。第1幕にはナレーションと合唱が入ります。第2幕はオーケストラのみ、第3幕は豪快な響きの序奏、後半も神秘的な響きが流れます。後半ではナレーションが入ります。そして最後に合唱が入ります。第4幕はオーボエのあとにホルンが響きます。そして後半にナレーションが入ります。これは緊張感のある演奏です。


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