「海」の演奏(1)

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団(1989)
CD(LONDON POCL-5023)

ドビュッシー/管弦楽作品集
1.3つの交響的スケッチ「海」
2.バレエ音楽「遊戯」
3.交響的断章「聖セバスチャンの殉教」
4.牧神の午後への前奏曲  

  シャルル・デュトワ指揮
    モントリオール交響楽団
  録音 1989年5月(1、2&4)
      1989年10月(3)
           
 デュトワのドビュッシーです。フランス音楽の録音をしていた時期のものです。
 「海」は第1曲「海の夜明けから真昼まで」の斬新な響きに驚きました。フランス系のオーケストラだけにドビュッシーを演奏させると生き生きとしています。弦楽のきらめきはかつてない美しさ、ティンパニも重い音です。ホルンの厚みのある響きがきれいです。コーダの押し寄せる波はタムタムとシンバル、ティンパニの音が凄いです。第2曲「波の戯れ」ではハープとグロッケンの鮮やかな響きがあります。弦楽による波の戯れの表現がきれいです。管楽器の美しさ、中間部では弦楽のさざなみが素晴らしいです。後半の盛り上げは見事です。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力とパーカッションの響きに圧倒されます。トランペットの絶叫と高波の表現が凄いです。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話が見事です。後半に挿入される合いの手パッセージはホルンとトランペットで高らかに吹かれます。怒濤のコーダは圧倒的で最後のティンパニの強打が凄いです。
 「遊戯」は素晴らしい演奏で響きのよさは抜群でしょう。「聖セバスチャンの殉教」はこちらも緻密な演奏が印象に残ります。
 「牧神の午後への前奏曲」は美しいフルート・ソロのあとに明るいホルンがエコーのように響くところが大変きれいです。その響きはやわらかでドビュッシーの演奏にはぴったりでしょう。ハッチンズのフルート・ソロが素晴らしい。


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