惑星の演奏

ジェームズ・レヴァイン/シカゴ交響楽団(1989)
CD(DGG 429 730−2)

ホルスト/組曲「惑星」Op32
 1.火星(7:20) 2.金星(7:23)
 3.水星(3:43) 4.木星(7:30)
 5.土星(9:06) 6.天王星(5:42)
 7.海王星(8:04)
 ジェームズ・レヴァイン/シカゴ交響楽団
       シカゴ交響合唱団(7)
   録音 1989年6月

 このCDは発売当時には抜群の優秀録音として評判でした。シカゴの抜群のうまさが光ります。
  レヴァインの演奏は火星では管と弦のうまさだけでなくパーカッションの凄さで圧倒されます。ドラの響かせ方が凄いです。金星はややテンポの速いアダージョです。冒頭のクレヴェンジャーのホルン・ソロは透明できれいです。木管の美しさは特筆ものでしょう。続く弦楽器の美しさには感激します。なんと美しい金星でありましょうか。
 水星は管楽器の滑らかさと弦楽器のバランスが見事です。管楽器の息の合った響きは恐ろしいまでに透明です。これ以上望めそうもない演奏です。
  木星は速めのテンポで始まります。管と弦の絶妙な響きが聴かれます。第2主題の響きも厚いです。第3主題のホルンは速めに歌わせおり、タンバリンの響きも素晴らしいです。アンダンテのジュピターのテーマはとても素晴らしいです。思わず涙が出そうになりました。オペラ指揮者ならではの歌わせかたです。後半の見事なことは言うまでもないでしょう。
 土星は弦のppからのクレッシェンドが実に素晴らしいです。中間部のクライマックスの迫力は凄まじいものがあります。鐘の音はよく鳴り響いています。これこそ土星らしい演奏です。
  天王星では冒頭の金管の和音と続くティンパニの強打が見事です。管楽器による第1主題はご機嫌な演奏です。ホルンと弦による第2主題も見事。中間部ではティンパニが迫力ある響きを出しています。コーダ前とコーダのオルガンは豊かに響いています。またトロンボーンとチューバの響きは圧巻です。
 海王星は透明感豊かな響きに始まります。この曲のお手本はボールトですが、それにもまして美しい響きです。クリアな録音がなお一層美しさを引き立てています。後半から聞かれるクラリネットの主題もきれいです。女声合唱も美しいです。

 改めて聴きますと、レヴァインの惑星は非の打ち所がありません。シカゴのうまさが隅々まで行き渡る超名演でしょう。これはお勧めのCDです。


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