2000年以後の「春の祭典」

ヴラディーミル・ユロフスキー/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(2008)
CD(LPO LPO-0123)2枚組

ストラヴィンスキー/作品集
CD1
1.交響曲第1番変ホ長調Op1
2.牧神と羊飼いの娘Op2
3.幻想的スケルツォOp3
4.葬送の歌Op5
CD2
5.バレエ音楽「火の鳥」全曲(1910年原典版)
6.バレエ音楽「春の祭典」

 アンハラッド・リドン(メゾ・ソプラノ)(2)
 ヴラディーミル・ユロフスキー指揮
  ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 録音 2018年2月3日(1,2)
     2018年2月7日(3-5)
     2008年9月24日(6)
 ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールライ

 ヴラディーミル・ユロフスキー指揮のロンドン・フィルハーモニー管弦楽団によるストラヴィンスキーの作品です。
 交響曲第1番変ホ長調は1905〜7年の作、1913年の改訂で、4つの楽章で構成されています。リムスキー・コルサコフの教えを受けたころの作品で、作風はグラズノフの影響もあるようです。第2楽章のスケルツォはロマンティックな作風でよい響きです。第3楽章のラルゴはストラヴィンスキーの作品とは思えないほど美しい響きが流れます。第4楽章のアレグロ・モデラートは迫力のあるロシア音楽そのものです。これは素晴らしい演奏です。

 「牧神と羊飼いの娘は」1905〜6年の作、プーシキンの詩による作品で、メゾソプラノの歌唱によります。第1曲「羊飼いの娘」、第2曲「牧神」、第3曲「川」になっています。ストラヴィンスキーのデビュー作品ということです。声楽作品としてもよくできた作品です。リドンの歌唱もきれいです。

 「幻想的スケルツォ」は1907〜8年の作です。これはストラヴィンスキーの初期の作品の中でもよくできた作品で、数多くの録音があります。ファンタスティックな作品で、この演奏も見事なものです。

 「葬送の歌」は1908年の作、師のリムスキー・コルサコフ追悼のための作品でしたが、紛失され、2015年に再発見されたものです。これは貴重な録音です。10分ほどの作品です。

 バレエ音楽「火の鳥」は1910年版による全曲演奏です。導入部の整然とした演奏、第1場では「イワン王子の突然の登場」から「王女たちのロンド」の美しい響きはこの作品の聴きどころでもあります。ユロフスキーの指揮は緊張感もあります。ホルンもきれいに響きます。迫力のある「カスチェイ王の凶暴な踊り」から「子守歌」も組曲でおなじみのところです。「子守歌」のファゴット・ソロがきれいな響きです。第2場はホルンのソロに始まって迫力のフィナーレになります。これは素晴らしい演奏です。

 バレエ音楽「春の祭典」は冒頭のファゴットのソロがきれいに響きます。続く木管楽器の響きの良さもまたいうことありません。クラリネットがよく響きます。ピッコロ、コールアングレも大変素晴らしい響きです。「春のきざし」も良い響きを出しています。パーカッションの大音響も聴きものです。ホルン・ソロが大変きれいな響きを出しています。「誘拐」のパーカッションの響きは抜群、金管とホルンの強奏もよく響きます。「春のロンド」では弦楽の厚み、タムタムと大太鼓の迫力が大変素晴らしいです。金管の迫力ある響きも抜群。「敵対する町の遊び」は勢いがあり、金管の迫力ある演奏も凄いです。「賢者の行進」は素晴らしい演奏です。「大地の踊り」はそのスピード感とパーカッションの圧倒的な迫力は素晴らしいものです。
 第2部の序奏はよい響きで緊張感を感じます。「乙女の神秘的な踊り」で聞かれるアルトフルートとホルンはきれいな響きです。「いけにえの賛美」の前の和音から迫力があり、「いけにえの賛美」もまた速いテンポで凄いです。管楽器とパーカッションの迫力が素晴らしい。大太鼓の響きには圧倒されるようです。「祖先の呼び出し」はティンパニの強打とバスドラムのクレッシェンドが迫力ある響きです。「祖先の儀式」でのホルンの強奏は見事な響きと弦楽の厚み、パーカッションも素晴らしい。「いけにえの踊り」の圧倒的な演奏、後半までの緊張感が素晴らしい。金管とパーカッションの響きが厚いです。タムタムの響きもよく聞こえます。圧倒的な迫力です。最後は少し間をおいて一打で終わります。これは大変素晴らしい演奏です。絶賛したい名演です。


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