「春の祭典」の演奏(ピアノ版)

リディヤ・ビジャーク&サーニャ・ビジャーク(2007)
CD(MIRARE MIR171)

ストラヴィンスキー/ピアノ連弾作品集
 1.バレエ「春の祭典」(ピアノ連弾版)
 2.バレエ「ペトルーシュカ」(ピアノ連弾版)
 3.5つの易しい小品
 4.3つの易しい小品

  リディヤ・ビジャーク(ピアノ)
  サーニャ・ビジャーク(ピアノ)
  録音 2007年11月
   パリ国立高等音楽院

  リディヤ&サーニャ・ビジャーク姉妹はセルビア生まれのピアニスト。以前はソリストとして活動していましたが、2002年にデュオを結成。2005年のミュンヘン国際コンクールではデュオ部門で特別賞を受賞しています。2012年の来日でも同じプログラムの演奏会を開いています。
  「春の祭典」のピアノ版は2台のピアノによる演奏が一般的ですが、この演奏はストラヴィンスキー自身による連弾のための編曲で、1台のピアノを2人で弾いています。姉妹の息があわないとうまくいかない複雑な曲ですが、じつによく息の合う姉妹のようで2台のピアノのように響きます。「春のきざし」の和音は良い響きで続く流れのスムーズなこと、「誘拐」のスピード感、「春のロンド」ではピアノの響きのよさをを改めて教えてくれます。そして強奏部分の迫力も素晴らしく、ピアノもいいものだと感心します。「大地の踊り」の盛り上がりは感動です。第2部の「いけにえの賛美」では鍵盤をフルに使うサービス満点の演奏で嬉しくなります。「祖先の呼び出し」の重厚な音も迫力があります。最後の「神聖な踊り、選ばれし乙女」の複雑なリズムは絶品といえましょう。オーケストラよりも面白く、ピアノ版がオリジナルではないかと思うほどです。ピアノの表現力の豊富さをしめした名演です。
  「ペトルーシュカ」はこちらもストラヴィンスキー自身の編曲による連弾です。冒頭から魅力的な響きのピアノが聞こえてきます。オーケストラ版でもピアノが使われていますので違和感なく、第1場「謝肉祭の部屋」から楽しいことこの上なく、ピアノの響きに酔いしれます。フルートのソロよりもきれなピアノがあります。第2場「ペトルーシュカの部屋」はオーケストラ版と変わりない魅力があります。第3場「ムーア人の部屋」のトランペット・ソロがピアノできれいに弾かれるのは気持ちが良いものです。この連弾版はオーケストラ版と共に愛聴盤になりそうです。
  「5つの易しい小品」は1919年に初演されたピアノ連弾のための小品集です。決してやさしい作品ではなく第1曲「アンダンテ」第2曲「エスパニョ−ラ」第3曲「バラライカ」第4曲「ナポリターナ」第5曲「ギャロップ」という5つの曲はリズムの変化があって楽しいです。「3つの易しい小品」も1919年の初演で第1曲「行進曲」第2曲「ワルツ」第3曲「ポルカ」となっていて演奏者にも楽しいものとなっています。


トップへ
戻る
前へ
次へ