2000年以後の「春の祭典」

ジョナサン・ダーリントン/デュースブルク・フィルハーモニー管弦楽団(2009)
CD(ACOUSENCE ACO-CD 21710)

 1.ドビュッシー/交響詩「海」
 2.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

  ジョナサン・ダーリントン指揮
   デュースブルク・フィルハーモニー管弦楽団
   録音 2010年2月3&4日(1)
       2009年9月9&10日(2)

  イギリスの指揮者ジョナサン・ダーリントンがドイツのデュースブルク・フィルハーモニーの音楽監督になってから数々の録音をしている中の1枚。「海」と「春の祭典」です。
  ドビュッシーの「海」は大規模編成の作品でありながら繊細な表現を必要としますが、ダーリントンの指揮棒から生まれる響きはフランスのドビュッシーそのものです。第1曲「海の夜明けから真昼まで」は夜明けの情景の弦楽と管楽器の響きが絶妙です。管楽器の美しい響きが良い雰囲気を作り出しています。中間部では弦楽の波のきらめきの表現が絶品です。ヴァイオリン2群とヴィオラが作る怒涛の波が素晴らしい。コーダの押し寄せる波はタムタムとシンバル、ティンパニの強打が凄いです。第2曲「波の戯れ」ではコールアングレに続くオーボエの演奏が素晴らしい。ミュート付きのホルンも良い響きで、ハープによる波のきらめき、弦楽による波の戯れの表現が素晴らしいです。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力とパーカッションの響きが素晴らしく、ミュートをつけたトランペットがよく響いています。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話が見事で、パーカッションの響きにも圧倒されます。後半に挿入されるパッセージはここでは挿入されていませんが、怒濤のコーダには圧倒されます。 
  「春の祭典」は冒頭のファゴットの演奏が最初のフレーズのあとに一息おく面白い解釈です。またE♭クラの響きの良さは特筆ものでしょう。「春のきざし」の緊張感、パーカッションの大音響も凄いです。「誘拐」も同様でホルンの響きも素晴らしくトランペットのフラッタータンギングも良い響きです。「春のロンド」ではパーカッションの迫力がまた素晴らしい。「敵対する町の遊び」の演奏も迫力満点です。「賢者の行列」ではギロが鮮やかに響きます。「大地の踊り」はその迫力に圧倒されます。
  第2部の序奏は緊張感が伝わってきます。「いけにえの賛美」の前の和音から厚みがあり「いけにえの賛美」の演奏は管楽器とパーカッションの迫力に圧倒されそうです。「祖先の呼び出し」もパーカッションのクレッシェンドは素晴らしい。「祖先の儀式」でのホルンの強奏は見事な響き、「いけにえの踊り」の圧倒的な響きは驚きで、大太鼓の重厚な響きには驚きます。最後は1つの和音で締めています。
  21世紀の名演奏のひとつと言ってよいでしょう。


トップへ
戻る
前へ
次へ