2000年以後の「春の祭典」

グスタヴォ・ドゥダメル/シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ(2010)
CD(DGG 477 8775)
 
1.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
2.レヴエルタス/「マヤ族の夜」 

  グスタヴォ・ドゥダメル指揮
  シモン・ボリヴァル・ユース・オーケストラ 
   録音2010年2月1〜7日ライヴ

 先ごろテレビ放映されたベネズエラのオーケストラ教室は無料で楽器を貸し、無料で教育するというユニークさに驚かされましたが、3歳から楽器の面白さを教えるとは素晴らしいことです。シモン・ボリヴァル・ユース・オーケストラは1999年に創設され指揮は最初からグスタヴォ・ドゥダメル(1981年生まれ)が担当しています。
 名もないオーケストラが力をつけてドイツ・グラモフォンと契約してついに「春の祭典」を録音しました。驚くのは実に新鮮な響きで暴れることなく、緻密で乱れのない演奏に驚きます。第1部では「誘拐」の鮮やかな演奏、ホルンの響きの良さ、打楽器の理想的な演奏、「春のロンド」の足取りの良さとパーカッションの迫力が凄いです。「大地の踊り」の胸のすくような演奏は素晴らしい。オーケストラがとにかくうまいです。
 第2部「いけにえの賛美」では直前の和音からド迫力で、乱れのない演奏。金管と打楽器の素晴らしさに驚きます。「祖先の呼び出し」はドドドンとゆったり太鼓を叩きます。ここまで見事に演奏されるとあっけにとられます。「祖先の儀式」のホルンの強奏、「いけにえの踊り〜選ばれた乙女」はパーカッションのうまさ、オーケストラの高い水準の演奏はとても南米のユース・オーケストラとは思えません。シンフォニーを聞いているようで、これには脱帽です。
 レヴエルタスの「マヤ族の夜」は南米の作曲家による音楽で映画からの管弦楽組曲への編曲です。冒頭から春の祭典のような迫力ある響きに始まります。打楽器の使い方がストラヴィンスキーのようです。4つの部分からできており民族音楽のように聞きやすい音楽です。穏やかな第3曲、強烈な響きの第4曲は迫力満点です。


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