ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ジョシュア・ベル(1994)
CD(DECCA UCCD−9034)

ジョシュア・ベル/ブラームス&シューマン
1.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
         (カデンツァ:ジョシュア・ベル)
   22:42/9:06/7:59(計39分47秒)
2.シューマン/ヴァイオリン協奏曲ニ短調

  ジョシュア・ベル(ヴァイオリン)
  クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮
    クリーヴランド管弦楽団
    1994年5月録音(1)
    1994年10月録音(2)

 アメリカのヴァイオリニスト、ジョシュア・ベルが27歳の時の録音です。ジョシュア・ベルは自作のカデンツァを弾いています。ベートーヴェンもそうでしたが、メンデルスゾーンまで自作のカデンツァを弾くというこだわりを持つ注目の演奏家です。ブラームスの演奏はホール一杯にヴァイオリンを響かせる見事な演奏、そのボーイングのうまさがあります。第1楽章中間部の抒情的メロディが実に美しい。自作のカデンツァはかなり繊細なものでテクニックを前面に出す物ではありませんがよくできています。ドホナーニの指揮で注目すべきはティンパニで第1楽章と第3楽章の最後のフェルマータで最後の一打を打っていることでしょう。第2楽章では時折ポルタメントを使いながら抒情的なメロディを歌います。第3楽章は強強いボーイング、ポルタメントも使う見事な演奏です。
 シューマンの協奏曲はまずドホナーニの作り出すオーケストラの響きに注目でしょう。ともすればあっさりした曲のイメージがあるこの曲に深みを与え、ヴァイオリン・ソロもこの曲に新たな命を与えたような見事な演奏です。シューマンのオーケストレーションは癖がありきれいに響かせるのが難しいと言われますが、ドホナーニによって生き生きした音楽になっています。


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