「春の祭典」の演奏(ピアノ版)

デュオ・ダコール&イヤードラム・パーカッション・デュオ(2010)
CD(GENUIN GEN11195)

 2台のピアノと打楽器のための作品集
 1.ストラヴィンスキー/バレエ「春の祭典」
  (デュオ・ダコール&
   イヤードラム・パーカッション・デュオ編)
 2.バルトーク/2台のピアノと打楽器のためのソナタ

 デュオ・ダコール
  ルシア・フアン(ピアノ)
   ゼバスティアン・オイラー(ピアノ)
  イヤードラム・パーカッション・デュオ
  ヨハネス・フィッシャー&ドメニコ・メルヒオーレ
  録音2010年4月3〜5日

  2台のピアノのための「春の祭典」は数多く録音されていますが、このアルバムは2台のピアノに打楽器群を加えて迫力のある演奏になっています。デュオ・ダコールの2人はドイツ人のゼバスティアン・オイラーと台湾出身の女性ルシア・フアンで、2台のピアノのための作品だけでなく自ら2台のピアノのために編曲して演奏しています。この「春の祭典」もそうであって、2台のピアノでは出せない迫力をパーカッションで補うようにしています。その編曲は凝ったもので、2台のピアノ版に打楽器を加えたものではなく、スコアから洗いなおして2台のピアノとパーカッションのために編曲しています。4人の編曲ですから意見の交換も活発だったでしょう。ソロ楽器がピアノだけでなく、マリンバやシロフォンにもなりますから面白いです。
  第1部の序奏はピアノとマリンバが絶妙でE♭クラリネットの主題がシロフォンで叩かれるのは素晴らしい。「春のきざし」ではピアノとシロフォンのユニゾーンが素敵です。またティンパニが迫力ある響きを出してくれます。ソロ楽器をパーカッションにゆだねることでピアノの響きにピアノ版では使わない音を出すことができます。そこがオリジナルな響きになっています。「春のロンド」では重低音をパーカッションにまかせてピアノは余裕の演奏です。クライマックスの打楽器の活躍は抜群でほとんどオーケストラ版同様に鳴り響いています。「敵対する町の遊び」のスピード感あふれる演奏は素晴らしいものです。「賢者の行列」でギロをふんだんに鳴らすのも面白く、「大地の踊り」の弩迫力は半端ではありません。
  第2部序奏は冒頭間もなくピアノのバックに地響きのようなパーカッションが鳴ります。それからしばらくはピアノだけですが「若者たちの神秘な集い」からはパーカッションが時折入ってきますので耳をそばだててみたいです。「いけにえの賛美」ではオリジナルのパーカッションが遠慮なく叩いてきなすので大変充実した響きです。「祖先の呼び出し」ではなんといってもティンパニの生々しい音が凄いです。オーケストラでは拾えない音でしょう。「祖先の儀式」ではピアノの良さもさることながらクライマックスのマリンバのトレモロが深いです。「神聖な踊り、選ばれし乙女」ではティンパニとピアノが絶妙な対話になっていて、オーケストラ版やピアノ版では味わえない贅沢な響きになりました。ブラボーです。 
  バルトークの「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」は1937年の作品で2台のピアノと2台のティンパニが大暴れという第1楽章は「春の祭典」を凌ぐ大迫力です。パーカッションは他に木琴が2、小太鼓、シンバル群、大太鼓、タムタムが使われていますので、ピアノとパーカッションが織り成す絶妙な響きには興奮させられます。第1楽章の終結は「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」のような響きになっています。第2楽章のピアノはなんとも神秘的な響きでした。第3楽章はこれも「弦、打、チェレスタ」を思わせる打楽器が面白いです。
  なお、この作品は1940年に2台のピアノ、打楽器と管弦楽のための協奏曲に編曲されています。 


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