チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヴィヴィアン・ハーグナー(2002)
CD(CAPRICCIO 51135)

CD1
1.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                ニ長調Op35
2.プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲
              第2番ト短調Op63
CD2
3.プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲
              第1番ニ長調Op19
4.グラズノフ/ヴァイオリン協奏曲イ短調Op82
5.ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲
              第1番イ短調Op77

  ヴィヴィアン・ハーグナー(ヴァイオリン)(1)
  ストイカ・ミラノヴァ(ヴァイオリン)(2〜5)
  ハンス=マルティン・シュナイト指揮
     ベルリン放送交響楽団(1)
  ワシル・ステファノフ指揮
   ブルガリア国立放送交響楽団(2〜5)
   録音2002〜03年?

 ヴィヴィアン・ハーグナーは1976年ミュンヘン生まれのドイツのヴァイオリニストです。12歳でメータと共演した逸材です。ストラディヴァリを使いこなす彼女の演奏は艶と透明感のあるものでチャイコフスキーの名曲を十分に楽しませてくれます。第1楽章展開部の感情移入はなんとも言えません。第3楽章冒頭の力強い演奏も聴きどころです。
 ストイカ・ミラノヴァは1967年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで2位に入賞したブルガリアのヴァイオリニスト。プロコフィエフの2つのヴァイオリン協奏曲は、第2番の冒頭から絶妙なヴィブラートを聴かせる泣かせるヴァイオリンです。ヴァイオリンが大変よく鳴る楽器で良い響きが素晴らしい。第3楽章の重音は厚みがあります。ヴァイオリン協奏曲第1番は1917年ロシア革命の時期の作品です。第1楽章:アンダンティーノ、第2楽章:スケルツォ、ヴィヴァーチッシモという流れはプロコフィエフらしい音楽の響きが完成されたもので、このスケルツォはのちのショスタコーヴィチにも影響を少なからず与えたのではないかと思えるリズムがあります。第3楽章、モデラート〜アレグロ・モデラートの哀愁的なメロディは後の「ロメオとジュリエット」を思い出させます。
 グラズノフのヴァイオリン協奏曲は第1楽章冒頭の深い響きが魅力的で、このカンタービレの素晴らしさは我を忘れてしまいそうです。第2楽章:アンダンテにいたっては背筋が寒くなりそうなほど感動に満ちあふれてきます。第3楽章:アレグロはピツィカートのきらめきが素晴らしい。
 ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番は第1楽章:ノクターンが暗い雰囲気で始まりますが、ミラノヴァの美しいヴァイオリンが素晴らしい。第2楽章:スケルツォでは鮮やかなボウイングでリズミカルな演奏が見事です。第3楽章:パッサカリアでは重厚なオーケストラの響きと対等に演奏するヴァイオリンに惹かれます。そして第4楽章:ブルレスケはショスタコーヴィチの特徴的なリズムが続きます。ここはミラノヴァの腕の見せどころでしょう。ピツィカートも鮮やかです。


トップへ
戻る
前へ
次へ