ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

レイチェル・バートン・パイン(2002)
CD(Cedille Records CDR 90000 068)2枚組

CD1
ヨアヒム/ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調Op11
              「ハンガリー風」
CD2
1.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
        (カデンツァ:ヨアヒム)
2. レイチェル・バートン・パインによる
     ブラームスのカデンツァ

 レイチェル・バートン・パイン(ヴァイオリン)
 カルロス・カルマー指揮
  シカゴ交響楽団
 録音 2002年7月2&3日

 レイチェル・バートン・パインはアメリカのヴァイオリニストです。ブラームスがヴァイオリン協奏曲を献呈したヨーゼフ・ヨアヒムの作曲した「ハンガリー風」とブラームスのヴァイオリン協奏曲を録音しています。
 ヨーゼフ・ヨアヒムのヴァイオリン協奏曲第2番は「ハンガリー風」の副題があります。47分を超える大作です。第1楽章はアレグロ・ウン・ポコ・マエストーソ、まさにロマン派の作品のようでメロディのきれいな楽章です。長い序奏のあとにヴァイオリンのソロが入ります。時に舞曲風の音型が入ってくるのがヨアヒムらしいところです。中間部のオーケストラはロマンティックな響きがきれいです。展開部のヴァイオリンは技巧的です。長大なカデンツァはオーケストラの挿入がある魅力的なものです。第2楽章はロマンツェでアンダンテ、この穏やかな雰囲気はロマンスを歌うヴァイオリンがきれいです。オーケストラの響きが独特です。第3楽章は「ジプシー風に」となっています。この楽章のテンポと技巧的なヴァイオリンはまさにジプシー・ヴァイオリンです。レイチェルのヴァイオリンは素晴らしい演奏です。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲はゆったりと始まる第1楽章冒頭が印象的です。ヴァイオリンのソロが始まるとブラームスの厚い響きが聴かれます。レイチェル・バートンの弾くガルネリウスの響きが素晴らしい。遅めのテンポで演奏するブラームスは一味違います。展開部のヴァイオリンも魅力的です。再現部の演奏も良い響きです。カデンツァはヨアヒムのものです。大変よく響くヴァイオリンで完成度の高い素晴らしい演奏です。第2楽章のアダージョはオーボエの美しいソロとホルンが流れ、ヴァイオリンのソロが入ると木管とホルンが対話するように響くところが印象的です。そして哀愁的なヴァイオリンが歌われます。ここはこの協奏曲の白眉ともいえるところです。レイチェルのヴァイオリンがよく鳴っています。第3楽章は勢いのあるヴァイオリンとオーケストラの響きが圧巻です。この厚い響きがこの協奏曲のい魅力でもあります。レイチェルのヴァイオリンが気持ちよくひびきます。大変良い演奏です。
 最後のボーナストラックにレイチェル・バートン自身のカデンツァが収録されています。第1楽章はカデンツァからトラックがわかれていますので協奏曲には2つのカデンツァが聴けるようになっています。レイチェルのカデンツァはヨアヒムとブラームスの合作のような実に素晴らしいものです。カデンツァのあとに第1楽章の結尾まで演奏されています。このアルバムはヨアヒムのヴァイオリン協奏曲とブラームスのヴァイオリン協奏曲が聴けるというありがたいものです。どちらも名演です。


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