ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヒラリー・ハーン(1998)
CD(SONY SRCR-2379)
 
.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
       (カデンツァ:クライスラー)  
2.バーンスタイン/セレナード 

  ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
  デイヴィッド・ジンマン指揮
    ボルチモア交響楽団
   1998年2月15日&
        6月8日録音

 ヒラリー・ハーンは1979年アメリカ生まれ、12歳でボルチモア交響楽団のステージに立ちサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を演奏しています。この2曲は18歳の時の録音です。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は11歳の時から研究していたそうで、恩師と共に追求した演奏、解釈があるのでしょう。弱奏部分の演奏の美しさは絶品です。とても18歳の少女の演奏とは思えません。カデンツァはクライスラーのものを弾いています。このカデンツァは飽きるほど練習したことでしょう。さらっとしたものではなく完成された作品の域に達しています。第2楽章で管楽器とヴァイオリンの対話がありますが、やさしく応対するようにも聞こえてきます。終結のカデンツァは短いもので即興はありません。第3楽章はレガート気味の演奏で温かみを感じます。ジンマンのサポートはヴァイオリンを包み込むように大事にしています。カデンツァはフレーズごとにわけて考えた演奏で新しい息吹を感じました。
 バーンスタインのセレナードはヴァイオリン、弦楽、ハープと打楽器のための作品です。五嶋みどりが2度も弦を切りながら弾ききった難曲です。この作品を好んで弾くハーンは凄いです。5つの楽章に分かれていますが、第3楽章:プレストが華やかで演奏がきつそうです。第5楽章は10分を要する長い楽章でオーケストラも難しそうですが、ヴァイオリンも体力が必要かもしれません。この楽章はオーケストラの響きに圧倒されます。


トップへ
戻る
前へ
次へ