ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ジュリアン・ラクリン(2004)
CD(Warner WPCS-11778)

1.モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番
  ト長調K216
2.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
       (カデンツァ:ヨアヒム) 

  ジュリアン・ラクリン(ヴァイオリン)
  マリス・ヤンソンス指揮
    バイエルン放送交響楽団
   2004年2月12〜14日録音

 ジュリアン・ラクリンは1974年リトアニアに生まれ、ウィーン音楽院で学んでいます。1988年にユーロビジョン・ヤング・ミュージシャンズでグランプリを受けて以来、欧米で活躍しています。2003年にはカーネギー・ホール・デビューをはたしています。
 モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番は30歳のときの録音、ラクリンのヴァイオリンはさわやかで典雅な響きです。ヤンソンスのサポートを受け美しいモーツァルトになっています。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲はオーケストラの編成が大きくなり雄大な響きなっています。ラクリンのヴァイオリンは力強さと美しさを兼ね備えたもので風貌からは想像できないような繊細な音も出しています。1741年製のグァルネリ・デル・ジェズ《エクス・カロドゥス》を使用しているそうで、このヴァイオリンから魅力的な音を引き出していると思います。展開部クライマックスの素晴らしい響きにはしびれます。カデンツァのゆったりとした演奏はヴァイオリンを十分に鳴らしたものと思われます。見事です。第2楽章の冒頭はオーボエのソロに聞きほれます。ヴァイオリン・ソロの美しい響き、ホルン、クラリネットの対話など久々に聞く美しさがあります。第3楽章の演奏でも力みのないヴァイオリンで完璧です。演奏に40分かけた堂々とした演奏でありブラームスの響きを満喫できる名演でしょう。


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