チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

バイバ・スクリデ(2007)
CD(SONY 88697214232)

チャイコフスキー/ヴァイオリン作品集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op35
2.なつかしい土地の思い出Op42(グラズノフ編)
   1)瞑想曲
   2)スケルツォ
   3)メロディ
3.バレエ音楽「白鳥の湖」より
   1)パ・ダクション(第2幕)
   2)ロシアの踊り(第3幕)

  バイバ・スクリデ(ヴァイオリン)
  ロバート・ジョンストン(ハープ)(3-1)
  ウルリヒ・ハイネン(チェロ)(3-1)
  アンドリス・ネルソンス指揮
   バーミンガム市交響楽団
   録音 2007年9月3&4日

 バイバ・スクリデ(1981〜)はラトビア出身のヴァイオリニストで2001年のエリザベート王妃国際コンクールで優勝しています。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は同じラトビア出身のネルソンスの指揮での演奏です。スクリデのヴァイオリンはウィルヘルミというストラディヴァリウスです。このヴァイオリンで丁寧に演奏しています。力みのない実に美しい演奏といえます。カデンツァが大変丁寧です。普通は力んでしまうこのカデンツァを優しく語りかけるように演奏しています。第2楽章の演奏も素晴らしいものです。オーケストラの管楽器も表現力が豊かでこの作品の美しさを改めて感じます。第3楽章ではメリハリをつけた演奏で、ヴァイオリンのスピード感ある演奏、そして管楽器の歌うところでは表情豊かに、この演奏は最近では珍しいものです。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を新たな視点から表現した名演として絶賛したいと思います。
 「なつかしい土地の思い出」はヴァイオリンとピアノのための作品をグラズノフが編曲したものです。第1曲「瞑想曲」は序奏部分の哀愁的な響きはピアノでは表現できない美しさです。ヴァイオリン・ソロの演奏もまた表現力が豊かです。またこの演奏ではオーケストラが張り切っていますので作品としての素晴らしさが伝わってきます。第2曲「スケルツォ」はヴァイオリンとオーケストラが追いかけっこするように歌っています。ヴァイオリン・ソロの部分ではハープの伴奏が素晴らしい響きです。第3曲「メロディ」は親しみやすいメロディが歌われます。チャイコフスキーの小品としても親しまれています。
 バレエ音楽「白鳥の湖」からの「パ・ダクション」は第2幕のグラン・パド・ドゥでハープ伴奏でヴァイオリンが歌うところです。オデットと王子が躍るところではチェロのソロが入ります。「白鳥の湖」の中でも有名な曲です。優雅に歌うところは穏やかなバレエ、弾むような歌は動きの速いバレエになります。そのシーンが目に浮かぶようです。 「ロシアの踊り」は第3幕の舞踏会で演奏されるものでヴァイオリン・ソロの素晴らしい演奏が流れます。チャイコフスキーらしい作品です。


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