チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ジャニーヌ・ヤンセン(2008)
CD(DECCA 478 0651)

チャイコフスキー/ヴァイオリン作品集
1.ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op35
2.なつかしい土地の思い出Op42(ラスカエ編)
   1)瞑想曲
   2)スケルツォ
   3)メロディ

 ジャニーヌ・ヤンセン(ヴァイオリン)
 ダニエル・ハーディング指揮
  マーラー室内オーケストラ
 録音 2008年7月21〜24日ライヴ

 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はハーディングとの共演です、第1楽章の冒頭からオーケストラが徐々に盛り上げて、ヴァイオリン・ソロに入ります。ヤンセンのヴァイオリンは大変美しい響きで見事なものです。展開部の前でオーケストラがリズムを強調しているところは面白いです。展開部のヴァイオリンはレガートが巧みで鮮やかな演奏をしています。カデンツァもきれいな演奏でピツィカートがアルペッジョでよい響きです。再現部はヴァイオリンが緊張感を持って演奏しています。
第2楽章「カンツォネッタ」はヴァイオリンのコン・ソルディーノが良い響きです。木管との対話もまたきれいです。第3楽章は冒頭のヴァイオリン・ソロが勢いがあって見事な演奏です。主部の演奏も力強いボウイングが素晴らしい。中間部のオーケストラとヴァイオリンの対話が聴きどころです。ホルンが軽快な響きです。ヤンセンのヴァイオリンは気迫に満ちた名演です。
 「なつかしい土地の思い出」は原曲がヴァイオリンとピアノのための作品です。グラズノフの編曲が一般的に演奏されますが、この録音ではアレクサンドル・ラスカエがヴァイオリンと弦楽のために編曲した版で演奏しています。第1曲「瞑想曲」は序奏部分から弦楽のみの演奏で雰囲気も違います。哀愁的な響きが切ないほどの美しさです。ヴァイオリン・ソロの演奏は表現力が豊かで見事なものです。第2曲「スケルツォ」はヴァイオリンと弦楽オーケストラが追いかけっこするように歌っています。ヴァイオリン・ソロの勢いが素晴らしくピツィカートがきれいです。第3曲「メロディ」は親しみやすいメロディが歌われます。チャイコフスキーの小品としても親しまれていますが、この演奏は弦楽セレナードのようで素晴らしいです。


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