チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヒラリー・ハーン(2008)
CD(DGG B0014698-02)

1..ヒグドン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調 
2.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
               ニ長調Op35

  ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
  ヴァシリー・ペトレンコ指揮
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 2009年5月(1)
      2008年11月(2)

 ヒラリー・ハーンは1979年アメリカ生まれ、12歳でボルチモア交響楽団のステージに立ちサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番を演奏しています。
 ヒグドンのヴァイオリン協奏曲はヒラリーのために書かれた曲です。2008年の作品でこれが勿論世界初録音です。ヴァイオリン・ソロで始まる第1楽章は現代的な響きですが第2楽章の叙情的な響きは映画音楽のようです。第3楽章はオーケストラの響きがショスタコーヴィチの思わせるもので楽器とパーカッションが目立ちます。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は待望の録音です。満を持して録音したヒラリーの演奏は独自の世界であり第1楽章の提示部をこれほど優しく弾いたソリストはほとんどいないでしょう。力むことなく哀愁を帯びたメロディーを弾いています。展開部も遅めのテンポで丁寧に弾いています。カデンツァも同様です。力一杯弾くのではなく本来の響きを出してくれます。第2楽章のソロはコン・ソルディーノ(弱音器使用)の響きがきれいです。第3楽章では力むことなくヴァイオリンを弾ききっています。新しいチャイコフスキーの登場といえましょう。


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