チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

レイ・チェン(2011)
CD(SONY SICC−1534)

1.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                 ニ長調Op35
2.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                 ホ短調Op64

  レイ・チェン(ヴァイオリン)
  ダニエル・ハーディング指揮
   スウェーデン放送交響楽団
   録音 2011年4月4〜9日

 レイ・チェンは台湾生まれオーストラリア育ちのヴァイオリニストです。2008年のメニューイン・コンクールと2009年のエリザベート王妃国際コンクールで優勝しています。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は力強さと繊細さを兼ね備えた見事な演奏です。確かなボウイングと表現力のうまさがあります。展開部の演奏も鮮やかです。時には滑らかに歌いますから思わず聞き入ってしまいます。カデンツァは気迫に満ちてこれも素晴らしい演奏です。再現部からコーダも緊張感あふれる凄さを感じます。第2楽章はしっとりとしたコンソルディーノの響きがきれいです。そしてレイ・チェンはこの楽章はスコアの通りに弱音器をつけてこの楽章を通して(弦楽もです)演奏しています。実に素晴らしい演奏です。そして第3楽章は開放弦の鮮やかな演奏が流れます。ヴァイオリンとオーケストラの対話がきれいに演奏されています。ここはハーディングのうまさです。中間部でホルンが追いかけるところで強烈な弦楽のピツィカートがあります。これは印象的です。コーダの勢いのある演奏も素晴らしい。なお、エリザベート国際コンクールはこのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で優勝していました。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はメニューイン・コンクールで優勝した曲だけに流麗で力強い演奏が聴かれます。メリハリのある演奏と表現力のうまさは素晴らしいものです。カデンツァも力の入る見事な演奏です。再現部は繊細なヴァイオリンがきれいです。切れ目なく続く第2楽章はしなやかに哀愁的な主題が歌われます。重音の美しい演奏です。切れ目なく続く第3楽章は鮮やかな演奏です。速いテンポで勢いのある演奏が奏でられています。オーケストラとのバランスも良くさわやかな演奏です。久々に胸のすくようなヴァイオリン協奏曲を堪能しました。


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