チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

ヴィルデ・フラング(2011)
CD(WANER 50999 60257024)

1..チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                  ニ長調Op35
2.ニールセン/ヴァイオリン協奏曲Op33

  ヴィルデ・フラング(ヴァイオリン)
  エイヴィン・グルベルグ・イェンセン指揮
   デンマーク国立交響楽団
  録音 2011年8月29〜31日

 ヴィルデ・フラング(1986〜)はノルウェー出身のヴァイオリニストで、10歳でオーケストラ・デビューを果たしていました。
 .チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はオスロの音楽学校やハンブルク音楽大学で研鑽を積んでからの録音です。フラングの演奏は大変流麗なヴァイオリンです。時には感情移入しなが歌うヴァイオリンは実に美しい響きです。展開部の力強いヴァイオリンも素晴らしい演奏です。カデンツァは緊張感があって完璧な演奏です。再現部の演奏も見事な響きでオーケストラとのバランスもよく聴きごたえがあります。第2楽章:カンツォネッタはアンダンテ、歌うヴァイオリンが哀愁的です。このアンダンテを表情豊かに歌うフラングのヴァイオリンはオーケストラと対等に響きます。第3楽章は冒頭の力強いヴァイオリン・ソロが素晴らしい。またスピード感のある主部からが聴きものです。管楽器の歌う部分からヴァイオリン・ソロの速いフレーズの緊張感もたまりません。若さあふれる演奏と言ってよいでしょう。
 ニールセンのヴァイオリン協奏曲は1911年の作品。2つの楽章で構成されますが、第2楽章は2つの部分からなり実質3つの楽章といえます。第1楽章は長い前奏がラルゴで演奏されアレグロ・カヴァレレスコに入るとヴァイオリンの抒情的な主題が流れます。カデンツァが特徴的でベートーヴェンの協奏曲のうように4つの和音を奏でるところは印象的です。また後半に力強い演奏が聴かれます。第2楽章は間奏曲のポコ・アダージョに始まります。ここで流れる哀愁的な主題は美しいものです。続くロンドはアレグレット・スケルツァンドです。ヴァイオリンとオーケストラが軽快な主題を演奏します。ここにも素晴らしいカデンツァが入ります。
 フラングの演奏は2曲共に完璧なものです。ニールセンのヴァイオリン協奏曲に名盤が生まれたと言ってよいでしょう。


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