シベリウス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

リサ・バティアシュヴィリ(2007)
CD(SONY SICC886)

1.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47
2.リンドベリ/ヴァイオリン協奏曲(2006)

  リサ・バティアシュヴィリ(ヴァイオリン)
  サカリ・オラモ指揮
   フィンランド放送交響楽団
   録音 2007年5月11&12日ライヴ(1)
       2007年6月5〜7日(2)

 ジョージア出身のバティアシュヴィリは2001年のシベリウス・コンクールで2位入賞をはたしています。使用楽器は1709年製のエングルマン・ストラディヴァリウス。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は演奏会のライヴ録音。冒頭からのヴァイオリン・ソロは美しい響きから次第に気迫に満ちたものになってきます。ストラディヴァリウスを十分に鳴らした見事な演奏です。重音がきれいです。研究を重ねた末の演奏でしょう。まさにシベリウスの協奏曲の響きです。カデンツァは素晴らしい響きで、緊張感もあり重音の美しさ、タッチの鮮やかなこと申し分ありません。後半の厚みのある響きは見事で気迫に満ちた素晴らしい演奏です。コーダも緊張感があります。
第2楽章は冒頭のオーケストラの響きがきれいです。ヴァイオリン・ソロは透明感のある響きで美しいものです。第3楽章は冒頭の弾むようなヴァイオリンが見事です。ここも気迫に満ちています。オーケストラの間奏のあとのヴァイオリン・ソロは厚い響きで力強く演奏されています。後半はオーケストラに支えられながら重音を力強く響かせています。気迫のこもった凄い演奏になっています。コーダもまた素晴らしい。これは会場も大喝采でしょう。
 マグヌス・リンドベリ(リンドベルイ)のヴァイオリン協奏曲は2006年にバティアシュヴィリが初演した作品です。3つの楽章で構成され、オーケストラは2本のオーボエ、2本のファゴット、2本のホルンと弦楽だけという古典的ですが音楽は現代的なものです。ヴァイオリン・ソロもオーケストラもかなり難解な部分も多く、厚い響きの第1楽章は音の渦といってよいでしょう。切れ目なく続く第2楽章は過激なヴァイオリンとオーケストラの不協和音が聞かれます。ヴァイオリン・ソロから切れ目なく第3楽章に入ります。速いテンポの楽章でオーケストラとヴァイオリン・ソロが対等になっています。4分に満たない短い楽章でディミヌエンドで終わります。25分あまりの作品です。


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