チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

アラベラ・美歩・シュタインバッハー(2014)
CD(PENTATONE  KKC-5439 PTC5186504)

1.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
                    ホ短調Op64
2.チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                    ニ長調Op35

  アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン)
  シャルル・デュトワ指揮
   スイス・ロマンド管弦楽団
  録音 2014年9月22〜24日

 アラベラ・美歩・シュタインバッハーは1981年生まれのドイツのヴァイオリニストです(母が日本人)。9歳でミュンヘン音楽大学に入学、2004年にCDデビューしています。
 メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は澄んだ音色のヴァイオリンが美しい演奏です。第1楽章の提示部から素晴らしい響きが聴かれます。デュトワがテンポの変化をみせるところも注目です。テンポは遅めですがカデンツァもゆったりと丁寧な演奏です。再現部はテンポを動かしながらも抒情的な演奏になっています。第2楽章のヴァイオリン・ソロは表現力が豊かで美しい響きが聴かれます。第3楽章のヴァイオリンとオーケストラが跳躍的なフレーズを演奏するところが素晴らしい演奏です。演奏に30分近くかけていますので遅い方の演奏ですが丁寧に歌うところが聴きどころです。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はこれも遅めのテンポでヴァイオリンのソロが歌われます。アラベラは表現力豊に演奏しています。それだけにオーケストラのソロが際立って聞こえます。またここぞというところはテンポアップしています。展開部も素晴らしい演奏です。カデンツァは緊張感があって見事な演奏です。再現部の演奏も見事な響きでオーケストラとのバランスも安定しています。第2楽章:カンツォネッタはアンダンテ、コンソルディーノで歌うヴァイオリンが哀愁的です。弦楽パートもコンソルディーノで演奏しています。木管楽器の響きがきれいです。このアンダンテを表情豊かに歌うアラベラのヴァイオリンは素晴らしい。第3楽章は冒頭の力強いヴァイオリン・ソロが素晴らしい。主部からは速いテンポで進みます。管楽器の歌う部分の豊かな響き、応答するヴァイオリン、そしてヴァイオリン・ソロの速いフレーズの緊張感もたまりません。この協奏曲は遅めの演奏ですがフィナーレは速めに緊張感を持って演奏しています。


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