「春の祭典」の演奏

ヤンスク・カヒーゼ/トビリシ交響楽団(1997)
CD(Cugate Classics CGC003-2)2枚組

1.チャイコフスキー/交響曲第6番
              ロ短調Op74「悲愴」
2.リムスキー・コルサコフ/スペイン奇想曲Op34
3.ストラヴィンスキー/組曲「火の鳥」(1919版)
4.    〃      /バレエ音楽「春の祭典」

  ヤンスク・カヒーゼ指揮
   トビリシ交響楽団
   録音 1997年

 旧グルジアのオーケストラによる演奏です。カヒーゼ(1936〜2002)は多くのレパートリーを持っています。 
 チャイコフスキーの交響曲第6番は第1楽章の整然とした演奏が見事です。展開部の迫力は素晴らしく金管のパワーに圧倒されます。再現部の弦楽はよい響きです。ホール一杯に広がるオーケストラの響きが印象的です。第2楽章は流れるような5拍子の主題が流れます。弦楽のうまさが冴えています。管楽器の響きもきれいです。第3楽章は行進曲のような明るい楽章です。ホルンが活躍しています。この楽章は管楽器のうまさが聴きどころです。第4楽章アダージョ・ラメントーソは悲壮感あふれる演奏です。弦楽の交錯がよく響きます。第2主題の表現力がまた素晴らしい。カヒーゼがグルジアのカラヤンと呼ばれるのもわかりそうです。後半の見事な演奏はさすがです。
 リムスキー・コルサコフのスペイン奇想曲はオーケストラのための協奏曲とも言える作品ですが、トビリシ交響楽団の水準の高さを示した演奏といえます。ホルンのビヴラートがきれいです。ファンファーレのあとのヴァイオリン・ソロも見事な演奏です。
 ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」は序奏と5つの舞曲で構成されています。序奏の響きの良さは見事なものです。「火の鳥の踊り」「王女たちのロンド」と実に素晴らしい演奏です。「カスチェイ王の凶暴な踊り」は迫力満点です。「子守歌」のファゴットが表情豊かに演奏されます。「フィナーレ」のホルン・ソロはこの曲の聴きどころですが、やわらかなホルンが豊かな響きで演奏しています。カヒッゼの「火の鳥」、これは素晴らしい演奏です。 
 バレエ音楽「春の祭典」は冒頭のファゴットが良い響きを出しています。コールアングレも良い響きです。「春のきざし」はホール一杯に響くオーケストラが聴きもの。ホルン・ソロの豊かな響きもいいものです。「誘拐」はパーカッションの迫力と金管の強奏が見事です。「春のロンド」では管楽器の歌がきれいです。そして大太鼓とチューバの迫力も聞かれます。「賢者の行列」から「大地の踊り」まで管楽器やティンパニの迫力ある響きも聴きものです。第2部の「序奏」は良い響きを出しています。「乙女の神秘的な踊り」のホルンは実に明るいきれいな響きです。「いけにえの賛美」は管楽器のグリッサンドが面白いです。パーカッションの迫力はさすがに素晴らしい。「祖先の呼び出し」はティンパニのクレッシェンドが素晴らしい。迫力満点です。「祖先の儀式」でのホルンの強奏は見事な響き、「いけにえの踊り」の圧倒的な演奏、ティンパニの強打、後半の緊張感が素晴らしい。 「選ばれし乙女」の見事なアンサンブル、パーカッションの迫力、また最後の「ピカドン」の響きがユニークです。それにしても迫力の豊かな演奏です。


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