チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲の演奏

リサ・バティアシュヴィリ(2015)
CD(DGG 4796038)

1..チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
                  ニ長調Op35
2.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

  リサ・バティアシュヴィリ(ヴァイオリン)
  ダニエル・バレンボイム指揮
   ベルリン・シュターツカペレ
   録音 2015年6月(1)
       2016年7月(2)

 ジョージア出身のバティアシュヴィリは2001年のシベリウス・コンクールで2位入賞をはたしています。シベリウスはサカリ・オラモとの共演に続く2度目の録音。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はバレンボイムとの共演です、第1楽章の冒頭から徐々に盛り上げて、ヴァイオリン・ソロに入ります。どちらかと言えばおとなしいヴァイオリンですが美しい響きを奏でるところは見事なものです。オーケストラは整然として厚みのある響きです。カデンツァもきれいな演奏です。第2楽章はヴァイオリンのコン・ソルディーノが良い響きです。第3楽章は冒頭のヴァイオリン・ソロが勢いがあって見事な演奏です。テンポが速いのでその鮮やかなボウイングには驚きます。中間部のオーケストラとヴァイオリンの対話が素晴らしいものです。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は9年ぶりの再録音です。2度目は意気込みが違うのでしょう。冒頭からのヴァイオリン・ソロは気迫に満ちたものでその美音の中に魂が込められているようです。オーケストラの盛り上がりのあとにくるヴァイオリン・ソロとカデンツァは素晴らしい響きで、満を持しての演奏と思えます。後半の厚みのある響きは見事で楽器を十分に鳴らしています。コーダも緊張感があります。第2楽章はオーケストラとのバランスの良い演奏です。バレンボイムの指揮棒が冴えます。ヴァイオリン・ソロは澄んだ響きで美しいものです。第3楽章は冒頭の弾むようなヴァイオリンが見事です。オーケストラの間奏のあとのヴァイオリン・ソロは厚い響きが美しく奏でられています。後半はオーケストラに支えられながら重音を響かせていて力がこもってきます。コーダもまた素晴らしい。


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