ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

サラ・チャン(2009)
CD(WANER WPCS−51071)

1.ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op26
2.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
     (カデンツァ:ヨアヒム)
   22:05/8:27/8:17(計38分49秒)

  サラ・チャン(ヴァイオリン)
  クルト・マズア指揮
   ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 2009年5月15&16日(1)
      2009年6月23&24日(2)

  サラ・チャンが29歳になって録音したブルッフとブラームスのヴァイオリン協奏曲です。サラ・チャンは以前からマズアと録音を希望していたそうです。
 ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番はなんとサラ・チャンが5歳の時から演奏していたそうで、ジュリアード音楽院に6歳で入学したときのオーディションに弾いたといいますから驚きです。20年以上弾いているこの協奏曲に対する思い入れは並大抵ではないようです。冒頭のヴァイオリン・ソロの歌い方からして感動的です。大人のサラ・チャンは音楽性が豊かになってヴァイオリンも瑞々しい響きを出しています。このブルッフの作品はオーケストラの響きも大切で流麗なこの演奏は素晴らしい。切れ目なく続く第2楽章はアダージョです。ヴァイオリンが抒情的な歌を歌います。サラ・チャンのヴァイオリンが美しい限りです。後半も泣かせるメロディに感激です。切れ目なく続く第3楽章はアレグロ・エネルジコ、この特徴的な主題はこの作品の魅力のひとつです。第2主題の3連符の連続がまた忘れられないものです。この演奏は申し分ありません。重音の鮮やかさ、オーケストラとの絡み、実に素晴らしい演奏です。
  ブラームスのヴァイオリン協奏曲はマズアとの待望の録音でした。マズアな納得できるヴァイオリンになっていたことでしょう。サラ・チャンのヴァイオリンは第1楽章から豊かな表現力で歌います。この楽章は抒情的な主題が多くニ長調とはいっても短調の部分があって泣かせてくれます。展開部のヴァイオリンはこの作品の聴きどころです。オーケストラの響きもよく見事な演奏です。カデンツァはヨアヒムのもです。優しくそして力強く、このカデンツァはよく響く素晴らしい演奏です。コーダは微弱音からクレッシェンドしていく見事な演奏です。第2楽章はオーボエのソロで始まり、ホルンが応答する序奏が聴きどころです。ヴァイオリン・ソロとホルンの対話もこの楽章の魅力です。泣かせる演奏です。中間部でも泣かせてくれます。第3楽章は厚い響きのヴァイオリンで始まります。ヴァイオリンの重音が力強く演奏されています。サラ・チャンの極めつけの演奏は速めのテンポで素晴らしいものです。


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