2000年以後の「春の祭典」

フィリップ・ジョルダン/パリ国立歌劇場管弦楽団(2012)
CD(naive V 5332)

1.ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
2.ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
3.ラヴェル/バレエ音楽「ボレロ」
  フィリップ・ジョルダン指揮
  パリ国立歌劇場管弦楽団
   録音 2012年5月

  フィリップ・ジョルダンはスイスの指揮者で父は名指揮者のアルミン・ジョルダンです。フィリップがパリのオーケストラを指揮した「春の祭典」と「牧神」、そして「ボレロ」です。
  「牧神の午後への前奏曲」はドビュッシーの代表作のひとつで録音は大変多いですが、冒頭のフルート・ソロと応答するホルンの響きが重要なポイントになります。この演奏はフランスの管楽器の響きが明るい響きを出しているだけでなくこれぞドビュッシーというような演奏をしていて気持ちの良いものです。
  「春の祭典」は冒頭のファゴットの響きが驚く程やわらかで美しい響きです。木管楽器の響きの良さもまた素晴らしいものです。「春のきざし」の緊張感、パーカッションの大音響も聴きものです。ホルン・ソロの明るさは久々に聞くように思います。「誘拐」のパーカッションの響きやホルンの強奏もまた素晴らしい。「春のロンド」ではタムタムと大太鼓の迫力がまた素晴らしい。「敵対する町の遊び」の演奏も迫力があり、緊張感も感じられます。「大地の踊り」はそのスピード感と迫力に圧倒されます。第2部の序奏は緊張感があります。「乙女の神秘的な踊り」で聞かれる首席ホルン奏者デュボワの明るいホルンは実にきれいな響きです。「いけにえの賛美」の前の和音から厚みがあり「いけにえの賛美」の緊張感もまた凄いですし、管楽器とパーカッションの迫力に圧倒されそうです。「祖先の呼び出し」はティンパニのクレッシェンドが素晴らしい。「祖先の儀式」でのホルンの強奏は見事な響き、「いけにえの踊り」の圧倒的な演奏、後半の緊張感が素晴らしい。タムタムの異様な響きが続きます。結尾前に音量を少し落としているのは驚き、また最後の「ピカドン」の前にたっぷりと間をおくのには驚きました。
  ラヴェルの「ボレロ」はフランスのオーケストラの重要なレパートリーでしょう。各楽器の響きの良さ、中でもジルベール・オーダンのバスーン(ファゴット)の響きにはうっとりさせられます。このボレロは名演と言ってよいでしょう。「春の祭典」は最後に度肝を抜いてくれました。


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