ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

アラベラ・美歩・シュタインバッハー(2008)
CD(ORFEO  KKC-5134 C778091A)

1.ベルク/ヴァイオリン協奏曲
          「ある天使の思い出に」
2.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
      (カデンツァ:クライスラー)

  アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン)
  アンドリス・ネルソンス指揮
   ケルン放送交響楽団
  録音 2008年11月4〜7日

 アラベラ・美歩・シュタインバッハーは1981年生まれのドイツのヴァイオリニストです(母が日本人)。9歳でミュンヘン音楽大学に入学、2004年にCDデビューしています。
 ベルクのヴァイオリン協奏曲は2つの楽章で構成されています。マノンという少女の死を悼んで作曲されたレクイエムともいえる作品。12音技法の音楽ですが、なぜか癒される音楽になっています。ヴァイオリン・ソロは力まずオーケストラと一体になった演奏はこの作品の響きの良さを改めて感じます。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はネルソンスとケルン放送交響楽団の作り出す重厚なオーケストラに支えられてシュタインバッハーがゆったりと演奏しています。アラベラのヴァイオリンはストラディヴァリウスで1716年製のブースという名の楽器です。オーケストラに負けない厚い響きを出しています。カデンツァはクライスラーのもので、楽器を十分に鳴らした堂々とした演奏です。ゆったりとしたものでよく響いています。第2楽章は序奏のホルンとの対話がきれいです。そしてファゴットとの対話もまた素晴らしい響きです。ヴァイオリンのヴィブラートが印象的です。結尾のカデンツァのあとに続く第3楽章では軽やかなヴァイオリンとオーケストラの重厚な響きが流れます。実に美しいヴァイオリンです。ファゴットとの絡みも聴きどころです。カデンツァは力のこもった演奏です。この演奏は全曲で47分を超えるものですが美しい響きのヴァイオリンが素晴らしい名演です。


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