ブラームス/ヴァイオリン協奏曲の演奏

デイヴィッド・ギャレット(2014)
CD(DECCA UCCL-9081)

1.ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調Op26
2.ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op77
     (カデンツァ:クライスラー) 
    22:34/8:47/8:12(計39分33秒)

  デイヴィッド・ギャレット(ヴァイオリン)
  ズビン・メータ指揮
   イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
  録音 2014年

 デイヴィド・ギャレットは1980年ドイツ生まれのヴァイオリニスト、イダ・ヘンデルに師事しています。2012年に映画「パガニーニ、愛と狂気のヴァイオリニスト」では主演と総指揮と音楽までやりとげた異色のヴァイオリニストです。
 ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番はティンパニのトリルから始まり前奏と共にヴァイオリン・ソロが哀愁的なメロディを歌います。ギャレットのヴァイオリンは力のこもった演奏で新たな表現と言ってもよいほど緊張感があります。オーケストラも厚みがあり大変雄大な響きです。第2楽章は繊細な響きと力強さを兼ね備えたヴァイオリンが素晴らしい。オーケストラとのバランスもいうことありません。第3楽章の華やかな演奏もまた絶品、楽器がよく鳴っています。このブルッフはメータと共に作り出した壮大な音楽になっています。
 ブラームスのヴァイオリン協奏曲はメータの引き出すブラームスの響きの良さとギャレットのヴァイオリンの緊張感が素晴らしい。オーケストラの厚い響きとヴァイオリンの理想的な響きがこの作品の魅力を教えてくれます。カデンツァはクライスラーのものを弾いています。重音の多いこのカデンツァはパガニーニのカプリースのようでギャレットの得意とするものでしょう。見事な演奏です。コーダの繊細な表現が素晴らしい。第2楽章は冒頭のオーボエの美しい響きが印象的です。そしてヴァイオリンの繊細な響きが哀愁的な主題を一層美しいものにしています。ホルンとの掛け合いもきれいです。この楽章は表現力が求められますがギャレットの繊細な表現は見事なものです。第3楽章はしっかりとした足取りで進む堂々とした演奏です。速すぎず緊張感のある演奏です。後半の勢いのある演奏も聴きものです。これは現代の名演奏といえます。
 なお、このアルバムには練習風景のDVDがついており、その腕の凄いことには驚きます。


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