ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲の演奏

庄司 紗矢香(2017)
CD(DGG UCCG-1811)

1.ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
     (カデンツァ:庄司紗矢香)
2.シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調Op47

 庄司紗矢香(ヴァイオリン)
 ユーリ・テミルカーノフ指揮
 サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団
 録音2017年10月12〜15日
     シベリウスのみライヴ録音

 庄司紗矢香待望のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とシベリウスのヴァイオリン協奏曲です。
 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲はロシアでの録音でテミルカーノフの指揮です。庄司のヴァイオリンは淡々としたものでピリオド奏法に近いです。力みのない美しい響きのヴァイオリンです。展開部の演奏も素晴らしい響きです。カデンツァは庄司紗矢香の自作のカデンツァです。聴きなれないフレーズが新鮮です。庄司のベートーヴェンに対する気持ちがこのカデンツァに表れているのでしょう。第2楽章はホルンの和音とともに始まる主題が美しい響きです。クラリネットの響きも素晴らしい。後半の演奏も弦のピツィカートに乗った繊細なヴァイオリンが素晴らしい。結尾のカデンツァは短いです。第3楽章は軽快なロンドです。オーケストラに支えられてヴァイオリンが歌います。ファゴットがきれいです。カデンツァは庄司の自作です。ハイトーンで始まる素晴らしいカデンツァです。気持ちの良い演奏です。
 シベリウスのヴァイオリン協奏曲はライヴ録音です。弱奏に始まり次第に盛り上げていくヴァイオリン・ソロの力強い演奏が聴きものです。庄司のヴァイオリンはこのシベリウスの演奏の中でもひと際輝きのある演奏です。重音のソロは厚みのある響きで素晴らしい演奏が聴かれます。オーケストラの間奏は迫力があります。長大なカデンツァは力強く厚みのある見事な演奏を奏でてくれます。再現部はオーケストラと共に良い響きを出しています。第2楽章は木管楽器の序奏のあとに美しいヴァイオリンが響きます。庄司のヴァイオリンには魂を感じます。中間部の盛りあがりはオーケストラの響きが素晴らしい。後半のヴァイオリンは重音がよい響きです。第3楽章は冒頭の弾むようなヴァイオリンが力強く響きます。オーケストラの響きも素晴らしいです。間奏のあとのヴァイオリン・ソロは厚い響きで奏でられています。重音には力が入ります。後半はオーケストラに支えられながら厚い響きでヴァイオリンを聴かせていいます。オーケストラの迫力ある演奏は素晴らしい。この演奏は興奮させてくれます。


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