「海」の演奏(2)

サー・サイモン・ラットル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2004)
CD(EMI TOCE-55737)

ドビュッシー/管弦楽作品集
1.牧神の午後への前奏曲
2.交響詩「海」
3.バレエ音楽「おもちゃ箱」
   (アンドレ・カプレ編)
4.3つの前奏曲
  1)西風が見たもの
  2)枯葉
  3)花火
   (コリン・マシューズ編)

  サー・サイモン・ラットル指揮
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
   エマニュエル・パユ(フルート)(1)
  録音 2004年9月17〜19日
    ベルリン・フィルハーモニー        

 サイモン・ラットルのドビュッシーです。
「牧神の午後への前奏曲」はエマニュエル・パユのフルートがきれいです。ホルンとのからみも素晴らしく、かつてのカラヤンの演奏とは違う響きの美しさがあります。
 「海」は第1曲「海の夜明けから真昼まで」は勢いのある演奏です。弦楽の波の表現がきれいです。コーダの押し寄せる波はタムタムとシンバル、ティンパニの強打が素晴らしいです。第2曲「波の戯れ」ではコールアングレに続くオーボエの演奏がきれいです。ハープによる波のきらめき、ホルンの響き、弦楽による波の戯れの表現が素晴らしいです。第3曲「風と波との対話」では冒頭の低弦の迫力とパーカッションの響きが素晴らしく、ミュートをつけたトランペットがよく響いています。弦楽の気迫に満ちた音のきざみが凄いです。ホルンの吹く風と弦の表現する波との対話がまた素晴らしいです。パーカッションの迫力には圧倒されそうです。後半に挿入されるパッセージはここでは挿入されていませんが、怒濤のコーダには圧倒されます。最後のティンパニがドドンと二度打ちしたのには驚きました。
 「おもちゃ箱」は未完のバレエ音楽で、残りの部分をピアノ・スコアからアンドレ・カプレが完成させたものです。ピアノ・オブリガートが入って独特の響きになっています。5曲からできています。こちらは楽しい演奏になっています。
 3つの前奏曲はピアノの前奏曲集第1巻から第7曲「西風が見たもの」、第2巻から第2曲「枯葉」と第12曲「花火」の3曲をコリン・マシューズが編曲したものです。「西風が見たもの」風の表現、「枯葉」は物悲しさの表現、「花火」は目まぐるしい花火の動きを音で表現したように感じます。マシューズの編曲は的確です。


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